Carpenters

Ticket to Ride

リチャードとジョン・ベティスのコンビが書いた曲がほとんどで、のちのアルバムに比べてロック色があります。

当時、リチャードは、カレンの声質を過小評価していたようで、彼とカレンがボーカルをとる曲が半々となっています。

悪くはないですが、一般的なカーペンターズのイメージとはちょっと離れているので、2枚目以降を聴き込んでから買うのでよいでしょう。

初回リリース時は「Offering」というタイトルで、しょぼい写真がジャケットに使われていました。次回作のヒットで発言力が強まったため、1970年にタイトルとジャケットを変更して再発売されました。

Close to You

1曲目を聴くだけで、カレンのボーカルを前面に出してリチャードがハーモニーを加えるというサウンドが確立したことがわかります。

アルバムに先行して発売されて超大ヒットしたClose to Youは、A&Mレコードから「バート・バカラックとハル・デヴィドの名コンビが作った曲をやってみたらどうよ」と提案されたもの。この曲は過去のミュージシャンではヒットしなかったのに、カーペンターズ・バージョンで一気にヒットしてバートは驚き、リチャードのアレンジ力を絶賛したそうです。

リチャード&ジョンの手による曲は単なるポップではなく、陰りやひねりがあって聴いていてひきこまれます。

Carpenters

1曲目からうっとり世界に誘ってくれます。続くリチャードが歌う小気味よいポップな短い曲を挟んで、切れ目なく再びカレンがじっくりと歌う曲が始まる流れは絶品です。

厚いオーケストラがカレンの声に華を添えています。特にSuperstarは絶品。

9曲目にはバートとハルが書いた1960年代のヒット曲のカバーをメドレーで収録。オーケストラは使用せずに、ドラムをカレンが叩いてリチャードのキーボードが伴奏を奏で、「兄妹だけでやってます」風の小気味よいポップな曲になっています。

Live In Japan 1972

「ア・ソング・フォー・ユー」リリース直前の1972年6月2日に行われた武道館公演を収録。

ボーナストラックとして、1971年5月14日にニューヨークで行われたバート主催のチャリティ・コンサートでの演奏も収録。

A Song for You

オープニングのA Song for YouとラストのA Song for You (Reprise)で曲をサンドイッチしたコンセプトアルバム仕立て。

Top of the World、Hurting Each Otherなど名曲ぞろいのアルバム。初めて聴いた時「あれ、間違ってベストアルバムを再生してしまったか?」と思ったほど。

Goodbe to Loveは、ファズを効かせたギターソロが「へヴィー過ぎる」という理由でアダルト・コンテンポラリーのラジオ局から放送拒否されたそうです。

Now & Then

これまたベストアルバムには必ず収録される名曲を多数収録。

当時オールディーズが再ブームになっていたことから、LPでいうB面はYesterday Once MoreとYesterday Once More (Reprise)に挟まれたオールディーズのカバー曲メドレーになっています。「When I was listen to my radio waiting for my faborite song」という歌詞に合わせて、ラジオからオールディーズが流れてくるという想定で、DJも入ります。カレンのドラム、リチャードのキーボード主体の演奏で、二人が楽しそうにやっているのはわかりますが、そんなに魅力がある曲ではないので聴いているうちに「そろそろ終わってくれないかな…」と思うこともしばしば。


(DVD)

Live at Budokan 1974

1974年5月31日の武道館公演を収録。

カレンがニコニコとしてコンサートを楽しんでいるのがよくわかります。特にドラムを叩いている場面は、満面の笑みを浮かべていて「ドラムが好きなんだな」ということがよくわかります。

他のメンバーとの息もぴったりと合っていて、「リチャード+カレンとバッキングメンバー」というより、「カーペンターズというバンド」のステージになっています。スタジオアルバムで聴くよりもロックな感じ。中盤のオールディーズメドレーはノリノリです。

メンバーの演奏シーンをまんべんなく撮影していて、楽しいステージの様子がよくわかります。カメラカットがナイス。日本人スタッフがいい仕事をやってくれました。

Live in Japan

1974年6月6〜8日の大阪公演を収録したもの。

Horizon

ピアノ弾き語り風の序章的な短い曲で始まって、ポップ曲に行き、イーグルスのDesperadoでしんみりとして、ビートルズでも御馴染みのPlease Mr. Postmanでポップになるという流れは絶品。

しかし、その後はしっとり&静かな曲が続き、特に盛り上がることもなく終わってしまい、物足りなさを感じます。

Live In Amsterdam 1976

1976年1月16日のオランダ・アムステルダム公演を収録。

A Kind of Hush

従来通りのソフト路線を求めるレコード会社と移り行く流行から取り残される恐れの板挟みに悩むリチャードが睡眠薬に依存する状態になり、カレンは拒食症に悩まされているなかで作成された作品。そのためリチャードは作品の出来に満足できていないそうです。

前作と同様に地味な曲が多いですが、派手な曲がない分、統一感があって聴きやすいです。

Live At The Palladium

1976年11月22〜27日のロンドン公演を収録。

Passage

ディスコ・ブームのなかでソフトな曲が世間的に受けなくなってきたことに「どげんかせんといかん」と危機感を抱いたリチャードが多様な曲にチャレンジ。

1曲目はラテンで「これがカーペンターズなのか」と驚かされます。ミュージカル「エヴィータ」の曲があったり、ラストにはカナダのプログレバンドの複雑に展開する曲を入れるなど実験的なサウンドになっています。

「普通」のソフトな曲に物足らなさを感じるほど。

意外性と面白味はあります。

Made in America

1979年1〜6月にリチャードが睡眠薬依存症からのリハビリのために入院して、しばし活動休止。その間カレンはソロアルバムをレコーディングするもののお蔵入り。

心機一転の再出発的に、従来のカーペンターズ・サウンドで曲をレコーディング。

前作の奇抜さからもとに戻ってほっとする反面、「昔と同じようなサウンドの繰り返しか…」という印象もあり、あまり作品に魅力を感じません。

拒食症の治療で弱った心臓が限界を超えたことで、1983年2月にカレンは死去しました。

Voice of the Heart

カレン生涯最後の録音曲、カレンのソロ作として作られた曲の他、レコーディングしたがアルバムには収録されなかった音源を集めたもの。

何回か聴きましたが、特に心に留まる曲もなく、さらっと時が流れていきます。

Lovelines

カレンのソロ作から選んでリミックスした4曲、未発表のカバー曲8曲を収録したアルバム。

何回か聴きましたが、特に心に留まる曲もなく、さらっと時が流れていきます。

As Time Goes By

1967年録音のデモ音源、テレビ出演時の音源、アルバムのアウトテイクなどを収録した未発表曲集。

何回か聴きましたが、特に心に留まる曲もなく、さらっと時が流れていきます。

Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra

これまでエルヴィス・プレスリーやロイ・オービソンの音源に新たにオーケストラサウンドをかぶせてアルバムを発表してきたロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が新たな題材としてカーペンターズを手掛けたもの。

この提案を聴いたリチャードが「どうせなら、ワシがアレンジ、プロデュース、指揮する」と乗り気になって収録。

リチャードが手掛けただけあって、オリジナルの雰囲気を壊すことなく、音の広がりと深みをアップさせてカーペンターズの世界を彩りました。。リチャード曰く「オリジナルでもオケを入れたかったが、資金がなくてできない曲があった」とのことで、そのうっぷんを晴らすべく見事にアレンジしています。







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