David Bowie

David Bowie

当時イギリスで話題になっていたボブ・ディランの人気にあやかろうとして、フォークシンガー路線で売り出そうとするもあえなく撃沈。

シングル3枚とこのアルバムだけでデラム・レコードから解約されてしまいました。

そんなに心に残る曲はなく、「デヴィッドのファースト」という歴史的意義さえなければ時間をとって聴くまでもないアルバムです。


(2CD)

Space Oddity

アポロ11号の月面着陸の話題にあやかり、宇宙飛行士が宇宙で漂流することを歌った曲Space Oddityを作ってレコード会社に売り込みをかけた結果、フィリップス・レコードとの契約をゲット。シングルヒットしたことでようやく庶民に存在が知られるようになりました。

Space Oddityは陰りさが不思議さを醸し出していて何回聴いても惹きこまれますが、それ以外は前作の延長線上にあるフォーク調が多く、そんなに面白くないです。

セッションミュージシャンとしてリック・ウェイクマンがキーボードを弾いていますが、存在感は希薄。

The Man Who Sold The World

ソロ活動を活性化させるためには自分のバンドが必要だと思い、メンバーを募ってミック・ロンソン(G)、トニー・ヴィスコンティ(B)らを迎えてレコーディング。

フォークさは消え去り、ハードさと怪しさのあるロックアルバムになりました。

曲はデヴィッドのクレジットになっているものの、実際にはバンドメンバー4人がアイディアを出し合って曲を煮詰めていったそうで、文殊の知恵が結晶したことで聴きごたえのあるアルバムに仕上がっています。

トニーが弾くうなるようなベースが印象的。

Hunky Dory

リック・ウェイクマンが弾くピアノをバックにデヴィッドが歌う曲が多く、前作のような派手さはないものの、じっくりと味わえる作品になっています。

ベースがトニーからトレヴァー・ボルダーに代わりベースラインの面白さが減ったのは残念。

The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars

地球外からやってきた両性愛のロックスター、ジギー・スターダストの栄枯盛衰を描いたコンセプト・アルバム。

ストリングスを導入することで音に広がりがでてきました。

高い評価を得たことで、一気にデヴィッドはスターの座に駆け上りました。

うまくまとまっているものの、私としては「もうちょっとハードさがある方がよいな」と思い、物足りなさを感じています。

Aladdin Sane

ロックスターのジギー・スターダストになりきって作成された作品。

オープニング曲はホーンセクションや女性コーラスが入り豪華絢爛なサウンドになっていて、前作のイメージと大違いです。

続くタイトル曲はジャズピアニスト、マイク・ガーソンの自由奔放なピアノプレイに圧倒されます。

万華鏡的な多彩な曲が連発され、驚きのなかグイグイと惹きこまれていきます。

この年の7月のイギリス公演でジギーは「引退」し、その後、封印。


(2CD+Blu-ray)


(2CD+Blu-ray)

The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars: The Motion Picture 50th Annivwerary Edition

1973年7月3日のロンドン公演を収録。

50周年となる2023年に、4Kにレストアしたうえで未発表映像を追加して発売。

Pin Ups

架空のキャラを演じてきた自分をリセットするために、自分の原点となる1960年代の曲をカバーしたアルバム。

Five Years 1969-1973

ファーストからピンナップスのスタジオアルバム、1972年のサンタモニカ公演、映画ジギスタのサントラ、ジギスタのリミックス版、シングルB面曲などを収録したボックスセット。

Diamond Dogs

新展開を目指して1974年にロサンゼルスに移住。アメリカ時代の始まりです。

ワオーンという鳴き声で幕開け、語りが入り「劇的なアルバムか?」と期待が高まるなか、続くタイトル曲は「ほぼローリング・ストーンズ」なブラスセクションが効いた軽快なロック曲。

続く3曲合体は、ゴスペルっぽいコーラスが入ったりサックスが響く重くけだるさのある約9分曲。「重くてしんどい…。もう限界…」と思ってきたところで、ハードなギターのリフがカッコ良いRebel Rebelになだれ込むところは爽快です。

後半にはジョージ・オーウェルの小説「1984年」に感銘を受けて作成した曲を収録。もともと「1984年」の舞台化も狙ったものの作家側から権利を得られず断念。1984はドラマチック感があっていいものの、続く曲たちがイマイチで尻すぼみで終了。

David Live

1974年7月のフィラデルフィア公演を収録。

この直後、体調不良のためにツアーを中断。その間、フィリーソウルに傾倒していきます。

Cracked Actor - Live Los Angeles '74

8月いっぱいツアーを休止。再開後の9月のロサンゼルス公演を収録したアルバム。

ソウルに傾倒したため、「ライヴ」よりもR&B色が強くなっています。

Young Americans

1974年の北米ツアー中にソウルに感銘を受け、いっちょやってみるか的にファンキーなソウル調でまとめた異色作。

本格さを追求するためにフィリー・ソウルのメッカ、シグマ・スタジオに入り、アメリカのファンク界&ソウル界のミュージシャンをゲストに迎えています。

全面にフィーチャーされたソウルフルな女性コーラスが曲に熱気&パワフルさを出しています。

ニューヨークのスタジオにはジョン・レノンがやってきて2曲のレコーディングに参加。そのうちの1曲Across the Universeはソウルフルにアレンジされ原曲よりも迫力があります。

ソウルフルなバッキングに負けないようにするためか、これまでのストレートで軽さがあった歌い方から、低めで粘りのある歌い方に変えています。

グラムロック時代とはスタイルが全く違いますが、これはそれなりに楽しめます。

Station to Station

前作発表後、ロック活動終結宣言をして俳優の道を選び映画「地球に落ちてきた男」に出演。その映画のサントラ用に曲を作っていたら止まらなくなり結局アルバムを作成し、ロック活動を再開させました。

白人である自分が、いかに黒人音楽を取り入れるかをテーマに作成され、ファンク&ソウルに電子音楽風味も加わり、不思議でカッコ良い世界が描かれています。

1曲目は複雑な展開をする10分曲でプログレさも感じて惹かれます。

全体的に緊張感が漂うスリリングなアルバムに仕上がっています。

レコーディング時に重度のコカイン中毒になっていて、どのようにレコーディングしたのか覚えていないとのこと。

当時、彼はコンサートで「シン・ホワイト・デューク」という名のキャラクターを演じますが、ファシズム擁護派というキャラ設定のためにインタビューでヒトラーに対して好意的なコメントをして騒動を引き起こします。

Live Nassau Coliseum '76

1976年3月23日のニューヨーク公演を収録。

Who Can I Be Now? 1974-1976

ダイヤモンド、ライヴ、アメリカン、ステイション、ライヴ・ナッソーに加え、ライヴの2005年ミックス、アメリカンの原型のThe Gouster、ステイションの2010年ミックスなどを収録したボックスセット。

Low

コカイン中毒になったり、ヒトラー擁護発言などの問題行動を起こしたのはロサンゼルスの環境が悪いせいだと思い、スイスに移住。のんびりと過ごしているうちに電子音楽隆盛のジャーマン・ロック・シーンに関心を持ち、心機一転で活動再開するために東西冷戦真っ盛りの西ベルリンに移住しました。

休養中にブライアン・イーノのアルバムを聴いて関心を惹かれ、彼に連絡をとってコラボを決め、トニー・ヴィスコンティに共同プロデュースのもとで作成開始。

前半は歌もの曲を収録しています。これまでにないシンセの入れ方に新鮮味を感じます。後半はブライアンのシンセ主体のインスト集になっています。

先進的なサウンドでデヴィッドを代表する一枚ですが、初心者には難解ですのでグラムロック時代や「ステイション」を聴いてから突入しましょう。

Heroes

ブライアンとトニーとコラボしたベルリン三部作の2枚目。全曲をベルリンでレコーディングしています。

当時キング・クリムゾン消滅で隠居中のロバート・フリップがブライアンの声掛けでベルリンに飛んできてギターで参加しています。

前作同様、前半は歌もの曲を収録して、後半はブライアンのシンセ主体のインスト集になっています。

インスト曲は、ほわーんとした幻想的な世界を描いています。これが好きな方は陶酔できるでしょうが、慣れないと「眠!」と思うでしょう。

ベルシンの壁の前で愛を語る恋人たちを歌ったHeroesは、ピーター・ガブリエルやキング・クリムゾンもカバー曲を発表するくらいの重要曲です。

これまた初心者には難解ですのでグラムロック時代や「ステイション」を聴いてから突入しましょう。

Stage

1978年4〜5月の北米公演を収録。

いきなりインスト曲のWarszawaでオープニングして幻惑世界にいざなわれ、Heroesになだれ込むところはとてもカッコよいです。

ジギスタ時代、アメリカ時代、ベルリン時代のおいしい曲を集めたベストセレクション的きらびやかさがあります。

時折入るインスト曲がいいアクセントになっています。

Welcome to the Blackout (Live London '78)

1978年6月30日、7月1日のアールズ・コート公演を収録。

Lodger

ブライアンとトニーとコラボによるベルリン三部作のラスト。でもレコーディングされたのはスイスとニューヨークです。

ギターにはのちにキング・クリムゾンに加入するエイドリアン・ブリューが弾いています。

全曲歌もので、アフリカ的リズムを取り入れたり、中東風のサウンドになったりワールドミュージック色になっています。

面白味はあるものの、そんなにいい曲は入っていないです。

Scary Monsters

ベルリン3部作で創造力の頂点をひとつ極めたことに満足したのか、アメリカに引っ越し。

一曲目ではいきなり日本語セリフが出てくる破壊力満点の曲で「このアルバムも難解か?」と不安になりますが、その後はアヴァンギャルドさを残しつつ、大衆に親しみやすいポップさを感じさせる曲が収録されています。

シングルヒットしたAshes to AshesやFashionはニューウェイブ系ダンスミュージックで、創造性の天上界にいたデヴィッドが大衆世界への階段を下りてきたような印象を受けます。

数曲でロバート・フリップが「いかにもフリップ節」と言えるギターを弾いていて、親しみやすいメロディーの曲に怪しさを添えています。

A New Career in a New Town 1977-1982

ベルリン3部作、スケアリー、ステージ(オリジナル版と2017年版)の他、ロジャーの2017年ミックスなどを収録したボックスセット。


(SACD)

Let's Dance

さらなるヒットを狙い、長年連れ添ったトニーと袂を分かち、ファンク&ディスコ界の大御所ナイル・ロジャースをプロデューサーに迎えた作品。

大衆世界に完全降臨し、冒頭から、ビートを強調したダンサンブル曲の3連発攻撃でテンションアップ。これらはシングルで大ヒットしました。

しかし、その3曲がパワフルすぎて、続く曲があまり魅力的には感じないです。

同じような曲が続いて飽きがくるので、アレンジにもうちょいひねりと深みがあるとよかったと思います。

Olympic Stadium, Montreal 1983 King Biscuit Flower Hour

1983年7月12日にカナダのモントリオールでのコンサートを収録。ラジオ番組キング・ビスケット・フラワー・アワーでの放送用に収録された音源です。

Serious Moonlight

1983年9月12日にカナダのヴァンクーヴァーでのコンサートを収録。

Tonight

前作に続くツアー中に曲を書く時間があまりなかったために、9曲中5曲がカバー曲です。

前作で掴んだ新規ファンをつなぎとめるために、レッツ・ダンス路線を継続したとのこと。LPで言うA面には前半はダーク系曲、レゲエ曲、じっくりバラード曲という変化球を収録し、B面はギターがかっこよいハード曲で幕開けし、ダンサンブル曲、ロックンロール曲と直球ノリで攻めてきます。

ガツンと来る曲はないものの、どの曲もそこそこの味があるので最後まで集中力が途切れることなく聴けます。

Never Let Me Down

前2作がヒットしたものの、新規ファンとは心のつながりが感じられないことから、違った角度から作ろうと思ってロック色を強めた作品。

単なるロックではなく、細かいアレンジを入れているものの、80年代特徴のやたらでかいスネアが目立ち、聴きづらいです。

学校の後輩のピーター・フランプトンがギターで参加し、味を感じるギターを奏でています。

あまりいい曲がなく、デヴィッドも「最底辺の作品」と言っています。

Glass Spider

ピーター・フランプトンをゲストに迎え開催された1987年8月30日のカナダ、モントリオール公演を収録。

Loving the Alien 1983-1988

レッツ・ダンスからネヴァーまでのスタジオアルバム、ライヴ・アルバム(シリアス、グラス・スパイダー)、さらにネヴァーの2018年ミックス、ダンスミックス曲集などを収録したボックスセット。

Tin Machine

行き詰まりを打破するために、ティン・マシーンというバンドを結成し、ビッグ・アーティストとしてではなく「バンドの一メンバー」としての活動を始めました。

シンプルなバンド構成で、虚飾を排したソリッドでハード系なロックが演奏されています。

気合がこもったいい曲が収録されていると思いますが、どこにでもありそうな感じがして特段お金を払ってまで聴くまでもないと思います。

Tin Machine II

前作をひっさげたツアーの勢いをかって新作のレコーディングに入ったものの、バンドの一メンバーとしての立ち位置に違和感を覚えて、レコーディングを中断。1990年に「これで過去の作品をライヴ演奏は封印する」と宣言したサウンド・アンド・ヴィジョン・ツアーを実施して大評判になりました。

ツアー終了後にレコーディング再開。そこそこのアルバムができたもののセールス的に振るわず、結局、ティン・マシーンは活動停止。

Black Tie White Noise

1991年にティン・マシーンのツアーで訪れたニューヨークでナイル・ロジャースに再会して意気投合し、ナイルのプロデュースで新作を作ることになりました。

「レッツ・ダンスの二番煎じには絶対にしない」という狙いであらゆる新アイディアを盛り込み、80年代の不振を払拭する大傑作に仕上がっています。

前年にモデルのイマンと結婚したことを描いたWeddingは、シンプルなドラムをバックにデヴィッドが鳴らすサックスが印象的なインスト曲。緊張感がありこれを聴いただけで「このアルバムはいい!!」とわかります。

音数が増え、華麗さが戻りました。

メロディーは80年代のようなわかりやすさはないものの、それ自体が「ヒットよりも芸術性を優先させた」ことを感じさせます。

The Buddha Of Suburbia

BBCのテレビ番組のサウンドトラックとして作成が始まったもの。

実際に番組で使われたのはタイトル曲の1曲のみ。この曲では、フォーク調の調べをバックにグラムロック時代みたいに柔らかい声質で歌っています。

その後、打ち込み的リズムのテクノポップ風曲、マイク・ガーソンの自由奔放なピアノとデヴィッドのサックスのからみが怪しいインスト曲、ベルリン時代のようなアンビエント曲が続き、不思議な感覚を受けます。

気合入りまくりの前作に比べ、肩の荷を下ろしたようなリラックスさを感じます。薄味でさほど印象に残る曲はないですが、ゆったりとした気分になりたい時は最適。

1.Outside

1992年のイマンとの結婚式の際にブライアン・イーノと再会したことをきっかけに意気投合して作成されたアルバム。

主人公の探偵が、14歳の少女が犠牲となった猟奇的な殺人事件の謎を追うというストーリーに沿ったコンセプトアルバム。

エレクトリックなリズムをバックにダークで濃密濃厚で破壊的なアレンジになっていて、聴いていくうちにしんどくなってきます。じっくりと時間をかけて聴き込んでいくと、しだいにそのダークさに強力な魅力を感じてきます。

隠し味的に入るマイク・ガーソンが奏でるかろやかなで奔放なピアノとダークさのコントラストが心地よいです。

ピンク・フロイドの「ザ・ウォール」の中盤の暗さが好きな人はこの世界にどっぷり浸れるでしょう。

もともと5連作で発売するつもりで「1. 」というタイトルをつけたものの、あまりにも難解で売れなかったため連作話は立ち消えになりました。

初心者は聴いてはいけません。きっとデヴィッドが嫌いになります。他のアルバムを聴き込んでから挑戦してください。

Earthling

「アウトサイド」のツアー終了後、ティン・マシーン時代からの盟友ギタリスト、リーブス・ガブレルスと一気に作り上げたアルバム。

当時流行していたドラムンベース調で打ち込み風の高速ドラムと、リーブスが弾くハードでギュンギュン鳴るギターが相まって、これまでにない新鮮さを感じさせます。

暗雲垂れ込みまくりの前作とうって変って、ジャケそのままの爽快さを感じます。

リズムはワンパターンな感じがするものの、ギターに加えてサックス、シンセ、ピアノのふりかけがかかって多彩な味がします。

実験的でガンガン攻めてくるサウンドなので、初心者にはおすすめしません。

hours...

アースリング発売後、当時黎明期だったインターネットを使って自分のキャリアを振り返り、過去の作品が今の作風にどのような影響を与えているか見極めたうえで、リーブスと一緒にバーミューダ諸島に飛んでキーボードとアコギだけで作曲を開始。

新アルバム用と「オミクロン」というゲーム用の曲を同時並行で作っていきました。

前2作の挑戦的&実験的な感じが消えており、AOL的な落ち着いた曲が多く収録されています。

女性ゲスト・ボーカルをフィーチャーした1曲目は、「ボズ・スキャッグスか?」と思わせるアダルトな雰囲気があります(声質も似ている)。

癒し系として聴く分にはいいです。


(2CD+DVD)


(2CD+DVD)

Glastonbury 2000

2000年6月25日にイギリスで開催されたグラストンベリー・フェスティバルのヘッドライナーとして登場した際のライヴを収録したもの。

Brilliant Adventure (1992-2001)

ブラック・タイからアワーズに加え、幻のアルバム「トイ」、2000年6月のロンドンでのライヴなどを収録したボックスセット。

Toy: Box

60年代に作ったあまり知られていない曲の再録音版と新曲を収録したアルバム。2001年に発売予定だったものの結局お蔵入りしました。

2021年に突如、ボックスセットの一部として発表され、その後、単品としても発売。

なぜお蔵入りになっていたのか不思議に思うほど、よくできた曲が収録されています。女性コーラスを入れるなど音にバリエーションがあって楽しみながら聴けます。

このボックスには別ミックスを収録したおまけCDが2枚つきます。

Heathen

1998年にアニメ映画の挿入曲づくりのためにコラボを再開したトニー・ヴィスコンティと一緒にこのアルバムを作り上げました。

「Toy」で日の目を見なかった新曲もアレンジを変えて収録されました。また、ピクシーズなどのカバー曲を3曲収録。

人類や社会の劣化をテーマにしています。

実験的要素はなく、大物ミュージシャンの貫禄が漂う、ゆったりとした曲が多く収録されています。

練りこまれた上質の音楽を安心して聴くことができます。でも、面白さという点ではもうひと捻り欲しかったです。

Reality

オープニング曲は「ヒーザン」の流れを組むパワーのあるゆったり曲。「またオトナ路線か…」と思ったところで2曲目はノリがよいハードな曲でテンションが上がります。

捻りがあるユニーク系、ダーク&怪しげ系など万華鏡的世界が展開されていきます。

若干、中だるみしていたところでノリノリ&ギンギンなロックが眠気覚ましに入り、ラストはジャズ風味の弾き語り調の曲で余韻たっぷりに終了。

Reality Tour

2003年11月の北アイルランド、ダブリンでのコンサートを収録。

「ヒーザン」「リアリティ」の曲をメインに、過去の名曲も織り交ぜています。

緊張感たっぷりの熱演が聴けます。すごっくカッコよく感じます。

このツアーでの2004年のドイツ公演の際に急な胸部痛に襲われツアーを中断。その後、心臓の動脈瘤の手術を受けて療養生活に入り、たまに他のミュージシャンのゲストで出るくらいで音楽活動を停止します。

The Next Day

2013年1月8日の66歳の誕生日に、突如シングルWhere Are We Now?の配信開始とともに3月のアルバム・リリースが発表され世界中を驚愕させました。

トニーによると、動脈瘤手術の1年後からデヴィッドに会うようになったが音楽活動については長年話題に上がらなかったのに、2011年頃に突如「デモでも作ろうか」と言われて作業を開始したとのこと。その後、徹底した箝口令が引かれ、上記の発表までアルバム作成情報は漏れませんでした。

1曲目のタイトル曲はダンスミュージック調で一気にテンションアップ。続くはサックスの低音が印象的なずっしり曲、その次は軽快なロックというコントラストの付け方が見事。

10年ぶりの活動再開を祝するかのように、これまでのデヴィッドの魅力を総括するような百花繚乱的な曲が収録され思う存分楽しめます。

★ (Blackstar)

2016年1月8日の69歳の誕生日に発売された作品。その2日後、デヴィッドは肝臓がんで死去しました。

トニーによると、死期を悟ったデヴィッドがお別れアルバムとして作ったとのこと。

オープニングのダークで不気味な約10分のタイトル曲を筆頭に、刺激的でとんがった曲が収録されています。

単調なリズムにほわーんとしたキーボードとフリージャズ的な管楽器がからみ、音で空間を描いているという感じ。プログレファンならビンビン感じる曲たちですが、初心者には「こんなのどこがいいの? ボウイって退屈?」と思うのは間違いないので、他のアルバムを聴き込んでからの方がよいです。







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