エレクトリック・ライト・オーケストラ(1971年) Electric Light Orchestra ギター&ボーカルのジェフ・リン、ドラムのベヴ・ベヴァン、チェロ&ベース&その他管弦楽器のロイ・ウッドを中心に結成。 普通ならベースギターが入る箇所が、ロイが弾くチェロで占められていて意外性と奇抜さがあります。「俺たちは他のバンドと同じようなサウンドはやりたくはないね。独自路線を突っ走るぜ」という意気込みを感じます。 「初期のELOはプログレだった」という話に納得できる冒険的なサウンドです。 その反面、親しみやすさに欠け、歌メロも後のELOと比べて魅力がないです。 他のアルバムを聴いてELOのファンになってから、面白いもの見たさに聴いてみてください。 |
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ELO2(1973年) Electric Light Orchestra II レコーディング途中にロイが新バンドを結成するために脱退。リチャード・タンディー(Key)、マイク・デ・アルバカーキ(B)、複数の弦楽器プレーヤーが加入。 前作に比べてチェロの比率が減ってギターの存在感が出てきたことでロックさが強まり、聴きやすくなりました。 オープニングはスリリングなシンフォニックプログレで「おっ、こいつらなかなかやるぞ」と印象づけられます。 続いてのちのポップ時代を予感させる甘めのメロディー曲。哀愁漂うストリングスアレンジにうっとりした後は、チャック・ベリーの名曲Roll Over Beethoven。勢いのあるリズムに分厚いストリングがからみゴキゲンです。 バラード調、ロック調、ブギ調と激しく展開する曲を挟んで、ラストは11分越えのドラマチック大作で終了。 プログレファンなら聴き逃せないシンフォニックロックの名作です。 |
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第三世界の曙(1973年) On The Third Day レコーディング途中で、バイオリンがミク・カミンスキーに交代。 前作同様に緊張感のあるストリングスセクションが、曲にスリリングさを与えています。 1曲の長さは前作の半分くらいですが、曲間がほとんどなく組曲風に進んでいき、プログレ感が高いです。 ラストは学校の音楽の時間で習ったことがあり(たぶん)耳なじみのあるグリーグ作のクラシック曲を収録。まさに「オーケストラ」の名の通りの雰囲気たっぷりに終わります。 レコーディング終了後、第2チェロがヒュー・マクダウェルに交代。 |
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エルドラド(1974年) Eldorado 平凡な現実世界から逃避するために夢の中の世界「エルドラド」を旅する主人公を描いたコンセプトアルバム。 オーケストラ・アレンジャーとしてルイス・クラークを招き、本物のオーケストラを使って録音しています。その分、バンドのストリングセクションの出番が減っています。 テーマがファンタジー系なだけに、前2作でみられたスリリングさがなく、ほんわかさが全面に漂っています。 柔らかい音作りで聴きやすく、のちのポップなELOの走りとも言え、入門編にはよいです。 レコーディングの最中に、マイクが「家族と過ごす時間を増やしたい」とのことで脱退。 |
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フェイス・ザ・ミュージック(1975年) Face the Music 前作に引き続きルイスが指揮するオーケストラを活用。合唱団も入っています。ベースにケリー・グロウカット、チェロにメルヴィン・ゲイルが加入し、黄金時代が幕開け。 1曲目はサウンドコラージュで始まり、オーケストラでググっと盛り上がるプログレ風たっぷりのシンフォニック・インスト曲。2曲目のほんわかバラード曲につながるコントラストが絶妙です。 その後、ファンク調、怪しげ調、ロック調などバラエティーに富んだ、親しみを感じるポップな曲が続きます。 ラストはオーケストラの調べ&合唱団のコーラスが美しいバラードで余韻たっぷりに終わります。 |
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オーロラの救世主(1976年) A New World Record オープニングはスリリングなオーケストラサウンドで始まり、「このアルバムもシンフォプログレで始まるか!」と期待させられますが、歌メロは超ポップで拍子抜けします。 プログレさは完全に消滅し、ストリングが華を添えるほんわかポップ曲が多く収録されています。 ケリーのハイトーンでのコーラスワークが冴え、曲に厚みを感じます。 もうちょいガツンと来る曲があるとよかったなと思います。 |
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アウト・オブ・ザ・ブルー(1977年) Out of the Blue LP時代は2枚組のポップなELOの集大成的なアルバム。 ソフトで聴きやすい曲がずらずらっと続きます。 LPでいう2枚目のA面には組曲を収録。それまでのソフト系とは印象が異なるスリリング味がある曲で始まり、ソフトに続いた後、ラストは合唱団を交えてググっと盛り上がって終了。この組曲はCDで他の曲と連続して聴くより、曲が終わった後の余韻に浸れるようにLPで聴くほうがいいでしょうね。 |
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ディスカバリー(1979年) Discovery 前作を最後に自前のストリングスセクションメンバーを全員クビにして、オーケストラ一本にしました。また、キーボードやシンセの比率が大きくなってきて、音にきらびやかさがあります。 当時のディスコブームに乗っかりスピード感とビートを強くしたダンサンブルな曲を多く収録しています。オープニング曲はノリノリなシンセポップで一気にテンションアップ。前作までのほんわかポップさとは一線を画する曲調の変化を感じます。 全体を通じて起伏に富んでいて、勢いがあり起承転結を感じさせて面白味があります。 |
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ザナドゥ(1980年) Xanadu 1980年に公開されたオリビア・ニュートンジョン主演のミュージカル映画「ザナドゥ」のサントラ盤。 アルバム前半にオリビアの曲、後半にELOの曲を収録しています。 ELOの演奏をバックにオリビアが歌うタイトル曲は大ヒットしました(ELOはからんでいないがオリヴアが歌うMagicも大ヒット)。それ以外のELO曲はさほど印象に残りません。 |
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タイム(1981年) Time 1981年から2095年にタイムスリップした主人公が、未来世界に幻滅し自分がいた時代を懐かしむというストーリーを描いたコンセプトアルバム。。 技術の進歩によってシンセの性能があがり「オーケストラなくてもいいんじゃねぇの?」と思ったのか、新たな境地を目指すためか、オーケストラとの共同を取りやめ、シンセメインで作りました。深みがなく、ピョコピョコした薄味サウンドです。ELOの最大の特徴とも言えるサウンドを放棄したことに当時は「商業主義に魂を売った」と非難されました。 「別バンドのサウンドだ」と割り切って聴くと、展開の面白さを感じて意外と楽しめます。 |
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(2LP分) |
シークレット・メッセージ(1983年) Secret Messages LP2枚組にしようと思ったものの、レコード会社から「オイルショックの最中に2枚組なんて価格が高くなって、売れない」と拒否られて1枚ものに。 前作でシンセを使いすぎた反動か、ギターをフィーチャーした曲が複数入っています。 3曲でルイスが指揮するオーケストラが演奏して、ラストでは久しぶりにミクのバイオリンが聴けるというウリはあるものの、さほど印象に残る曲はないです。 レコーディングの最中にケリーが脱退。 2018年に突如オリジナル構想とおりのLP2枚組として発売され、2019年には日本のみCD発売。 |
バランス・オブ・パワー(1986年) Balance of Power ベヴは、ツアードラマーをやっていたブラック・サバスで正式ドラマーになりたいと思い、ジェフとリチャードは映画のサントラ盤に興味があるなか、レコード会社との契約が残っているということで製作された作品。 サックスを取り入れた曲がいくつかあり、サウンドの工夫は感じるものの、さほど印象に残る曲はないです。 契約が満了したことでメンバーは各自路線に進み、ELOの歴史は幕を閉じます。 なお、ELO名義で2001年に「ズーム」が発売されますが、実質ジェフのソロアルバムなので割愛します。 |
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