Styx

Styx

チャック(B)とジョン(Dr)のパノッツォ兄弟、デニス・デ・ヤング(Key, Vo)、ジョン・クルリュウスキ(G)、ジェイムス・ヤング(G, Vo)で結成。

プログレ・ハード系のサウンドです。

1曲目は4部構成の13分間の組曲ということになっていますが、まとまりがないのでバラバラの4曲のように感じます。

サウンドは荒削りですが、コーラスは全盛期そのもの。

Styx II

1曲目、2曲目はデニスが歌うノリノリのロックとバラードで全盛期を彷彿とさせますが、続く2曲目はジョンが歌うサイケな曲でイメージが一転。

ちょっとガッカリしたところで、後半になりデニスがプログレ風味付けの曲を3連発で歌って溜飲が下がります。

The serpent is rising

ジェームズとデニスが歌う冒頭の3曲でノリノリな気分になったところで、ジョンがイマイチのアコースティック曲と意味不明のおちゃらけ曲で雰囲気をぶちこわします。

後半もいい感じできていたのに、ジョンの手による「ほとんど演説」が入ってラストは「ハレルヤ合唱」で終わります。アルバムに統一感と流れがないです。

Man of miracles

「ジェームズのためのアルバム」だと言ってもいいくらいに彼が大活躍しています。半数の曲を作り、ノリノリとギターを鳴らし歌いまくっています。

一方、デニスはしっとり感のあるバラードを歌い、アルバム全体でコントラストがついています。

ラストはシンフォニックさもあるヘビーなプログレ風サウンドでジェームズが熱唱して終了。

Equinox

セカンドアルバムに収録していたLadyをシングル発売したら大ヒットし、メジャーレーベルのA&Mにみそめられて移籍した後の作品。

「Ladyが売れたのは俺のお陰だよね」ということか、デニスが歌うポップな曲が前半を占めます。

ちょっとだれてきたところでジェームズのノリノリハード曲で目が覚め、デニスのプログレ風ハード曲に入り、ジョンの短いアコギ曲を挟んで、ドラマチックなシンフォニックサウンド曲で終わるという流れは絶妙。

アルバム発表に続くツアーの直前、売れ線ポップ化に向かっているバンドの方向性に違和感を覚え、さらにツアーよりも家族と一緒の時間を過ごしたいと思ったジョンが電撃脱退。

Crystal ball

ジョンの脱退を受けて後任を必死になって探した結果、Ladyでのハイトーンのハーモニーができるギタリストということでトミー・ショウに決定。

彼がいきなりの大活躍で、タイトル曲を含め複数の曲でリードボーカルを取り、ギターを弾きまくり、さらにコーラスに厚みを加え存在価値を確立しました。

オープニングはジェームズが気合を入れて熱唱する高速ハードロック曲。トミーとジェームズのツイン・リード・ギターが活かされ、いきなりアクセル全開です。デニスが歌う中間部のゆったりパートのコントラストが曲にメリハリをつけています。

トミーが歌うタイトル曲はアコギ弾き語り風にしんみりと始まり、途中からググッとハードになって盛り上がります。

ラストの曲は、プログレっぽいドラマチックなシンフォニック展開になっています。

The grand illusion

ドラマチックなThe Grand Illusionで幕を開け、The Grand Finaleで幕を閉じるコンセプトアルバム仕立てになっています。

これらにサンドイッチされた曲は、ハード・ロックあり、ポップ系ありのてんこ盛り。大ヒットしたCome Sail Awayはしんみりと始まり、後半に大盛り上がりする名曲です。


(SACD)

Pieces of eight

ジェームズが熱唱するハードロックでオープニングし冒頭から圧倒されます。すかさずデニスが歌うポップな曲がフォローするというコントラストが心地よいです。

クライマックスのタイトル曲はプログレ風味付けのドラマチックな大作です。

Cornerstone

冒頭にトミーのポップ曲が入り、路線変更が明確になりました。大ヒットしたバラードBabe、マンドリンやアコーディオンが懐かしさを感じるBoat on the Riverがあり、ポップ作品としては逸品ですが、それにコントラストをなすハードな曲がないため、薄味な気がします。

売れ線ポップ化を主張するデニスとロック路線の維持を訴えるトミーとジェームズの意見対立が勃発。


(プラチナSHM)


(CD)


(SACD)


(SACD)

Paradise theater

シカゴに実在した映画館を題材にしたコンセプトアルバム仕立てです。同じフレーズが繰り返し使われ、アルバムに統一感があります。

オープニングの1928からRockin' Paradiseへの流れは爽快でかっこよいです。デニスが歌い上げるラブソングThe Best of Timesは何回聴いても心にしみます。

バンドの主導権を握ろうとするデニスへのトミーの不満はますます募っていきます。

SACDは日本盤と輸入盤では使った音源が違います。

Kilroy was here

「ドモ・アリガト・ミスター・ロボット。ドモ。ドモ」という日本語歌詞が有名なMr. Robotoで始まる作品。

デニスが発案した、ロックが禁止された近未来で権力者と戦う勇者の姿を描いたロックオペラ仕立てです。デニスが伝説のロックヒーロー、トミーがその信奉者、ジェームズが権力者を演じています。

デニスが一人気を吐く中、トミーとジェームズはヤル気がでなかったのか彼らの曲に魅力があまりなく、全体的に企画倒れの気がします。

Caught in the act

新曲1曲と1983年4月9〜10日のアメリカ、ニューオーリンズ公演を収録。

ベスト盤と呼んでよいくらいの選曲になっています。

演奏、コーラスワークは完璧。スタジオアルバムを完全再現しています。

同名のDVDに収録されていない5曲を収録。逆にDVDにはCDには収録されていない5曲が収録されており、両者をそろえると当時のセットリストを完全再現できます。

コンサートでデニスに学芸会的な演出を強いられることに耐えられなくなったトミーはツアー終了後、ソロ活動に走りました。


(DVD)


(DVD)

Caught in the act: Live

「ミスター・ロボット」のツアーのライブ映像とプロモ・ビデオを収録したもの。

コンサート会場でオープニングに流れた「ミニ映画」からスタート。ロック禁止令を無視したことで逮捕された主人公キルロイが刑務所から脱走するシーンが描かれます。

デニスがトミーと芝居しながら歌うMr. Robotoでコンサートは開始。その後、自分が逮捕されるきっかけになったコンサートをキルロイが追憶するという設定でコンサートが進んでいきます。

最後の方は再び芝居調になり、デニスとトミーがデュエットするしんみりとした曲Haven't We Been Here Beforeに続き、ラストは感動的で豪華絢爛なサウンドが聴けるフィナーレで終了。

メンバー(特にトミー)は芝居がかった演出に嫌気がさしたそうですが、見ている方としてはけっこう楽しめます。

Edge of the century

他バンドの活動で忙しそうなトミーを脇に置いて、ギター&ボーカルにグレン・バートニックを迎えてレコーディングされたもの。

全10曲のうちの半分がグレンの曲です。いきなり1曲目から彼がリード・ボーカルをとっていて、馴染がない声に違和感を覚えました。

グレンはストレートなロック、デニスはバラード専門みたいな感じで分担しています。

悪くはないですが、あまりにも普通のロックアルバム過ぎて、面白味に欠けます。


(DVD)

Return to paradise

ベストアルバムにLadyの再録音バージョンを収録するために1995年に全盛期メンバーで集まってみたら意外と意気投合して再起動。

その勢いで1996年からツアーを始めようとしたものの、ジョンが酒の飲み過ぎでの肝硬変で死去。

後任にトッド・ズッカーマンを迎えた1996年9月21日の地元シカゴで開かれた再結成ライブを収録したもの。

選曲よし、演奏よし、映像よしと文句のつけようがないくらいの出来栄えです。

3人のボーカリストの絶品のハーモニーをライブで再現できるとは超人技です。音の分離がよいので、トミーとジェームズのギタープレイがはっきりと聴き分けられます。

Brave New World

Return to Paradiseツアーのメンバーのままでレコーディングされた作品。

バンドとしてのケミストリーは全く感じられず、各メンバーのソロを収録したというような印象です。

トミーの曲ではゲストのストリングス部隊が入り、デニスがキーボードを弾いていないっぽく感じますし、コーラスにデニスが入っていない気がします(その分、コーラスに厚みがなく、物足りない)。

デニスの曲は、ソロでミュージカルアルバムを作っていた流れか、ロック色がないおとなしめの曲で物足りないです。

カバーアートをどうするか、アルバムの曲順をどうするかなどでメンバーの意見対立が再燃。

目の不調でツアー延期を訴えたデニスを無視して、トミーがローレンス・ゴーワンを代役に迎えてツアー強行。そのままデニスは脱退扱いになりました。


(DVD audio)

Cyclorama

ローレンスを正式メンバーとして迎え、さらにエイズのために体調が芳しくないチャックの補佐役としてグレン・バートニックをベーシストとして迎えてレコーディング。

一曲目は「南無妙法蓮華経」で始まるノリがよくパワフルにトミーが歌う曲、続けてトミーが歌う2曲目もアコギパートとハードなパートのコントラストが見事な曲です。

リードボーカルをトミー、ジェームズ、ローレンス、グレンが手分けしてそれぞれの味を出した曲になっていたり、4人の分厚いコーラスがあったりと聴きどころ満載。新たな境地に達しています。

ラストは「ゲンキ・デス・カ」と日本語づくし。

アルバムのリリース後、グレンが家族との生活やソロ活動を優先するために脱退し、後任にリッキー・フィリップスが就任。

Big Bang Theory(2005年)

2004年6月5日にエリック・クラプトンが主催したギター・フェスティバルに参加してビートルズのI am the Walrusを演奏したら大ウケして、シングルでリリースしたらヒット。

その勢いでザ・フー、オールマン・ブラザーズ・バンド、ジミー・ヘンドリックスなどの曲をカバーしてアルバムを作り上げたもの。

私が原曲を知っているのはビートルズとザ・フーの曲だけで「へー、そうアレンジするんだ」と面白味を感じましたが、その他の曲は知らないので、あまり惹かれませんでした。


(DVD)


(Blu-ray)


(Blu-ray)

One with everything

2003年から毎年ロックバンドとの共演を企画しているクリーヴランドのコンテンポラリー・ユース・オーケストラと共に行った、2006年5月25日の公演を収録。

予想以上にスティクスのサウンドにオケの音がマッチしています。また、合唱団がハーモニーに厚みを加えます。Miss Americaの出来は圧巻です。

全員が10代のオーケストラと合唱団との演奏をメンバーがとても楽しんでいる姿を見て頬が緩みます。

CDよりDVD/blu-rayの方が収録曲が多いです。


(2CD+DVD)


(DVD)


(DVD)


(2CD+Blu-ray)


(Blu-ray)


(Blu-ray)

Grand Illusion / Pieces of Eight: Live

名盤「グランド・イリュージョン」と「ピーシズ・オブ・エイト」を完全再現した2010年11月9日のアメリカ、メンフィス公演を収録。

当時のメンバーは、ジェームズ、トミー、チャックが登場(チャックは体調がイマイチなので、出たり引っ込んだり…)。

老けてチョイ悪おやじな外見になったトミーが、以前と変わらない伸びやかなハイトーンを出す姿には圧倒されます。。

ボーカル&キーボードのローレンスの存在感があります。後ろ向きでキーボードを弾く姿はカッコ良いし、ステージ狭しと動き回る姿が面白い。「しょせんデニスの代役でしょ」と思っていましたが、「後任」に格上げです。

ライティングやスクリーンに映し出される映像がきれい。視覚的にとても楽しめます。

Regeneration

現行のメンバーで過去の作品を再録音したもの。もともとは上記の「完全再現ツアー」の会場で売るために作られたものです。

アレンジは原曲とほぼ同じ。録音が新しいせいかきらびやかに感じます。トッドがドラムを叩いていることでパワフルが増しています。

ローレンスが歌うデニスの曲は全く違和感ないです。


(CD+DVD)


(DVD)


(CD+Blu-ray)


(Blu-ray)

Live at the Orleans Arena Las Vegas

2014年にフォリナーとドン・フェルダーと一緒に行ったSoundtrack of Summerツアーでの、2014年7月25日のラスベガス公演を収録。

Blue Color Manではドンがゲスト演奏しています。

定番とも言えるベスト盤的選曲で、安定した演奏が聴けます。


(CD+Blu-ray)

The Mission

2033年の火星探査をテーマにしたコンセプトアルバム。

一曲目はド派手なシンフォニックでハードなインスト作品。それに続く曲はローレンスがシャウトするノリノリなロックで爽快です。続く曲はトミーが歌い、続いてはジェームズ。3大巨頭が元気いっぱいに演奏&ボーカルを楽しんでいます。

緩急、剛柔に富んだサウンドが展開されています。

Crash of The Crown(2021年)

分厚いコーラスに彩られた3〜4分前後の短い曲がほとんど切れ目なく怒涛のように押し寄せて、物凄い勢いを感じます。起伏に富んだ展開でプログレ感が高いです。

ローレンス加入後の過去2作ではトミーが目立ってローレンスは一歩下がった立ち位置だったのが、今回は2人が両輪となった感じ。コーラスワークも冴え、全員で一致団結して作った感じが強いです。







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