フラワー・キング(ロイネ・ストルト)(1994年) The Flower King フラワー・キングスの原型となったロイネ・ストルトのソロ作品。 明るくほのぼのとしたシンフォニック・サウンドが収録されています。とても聞きやすいですが、もうちょっと刺激とスピード感があった方がよいかも。 ハイメ・サラザールとハッセ・ブルニウソンが叩くドラムとウルフ・ヴァランデルが奏でるサックス以外、楽器をすべてロイネが演奏しています。ハッセ・フレベリが2曲でボーカル参加。 このアルバムのサポートツアーをやるために、ロイネの弟のマイケルをベースに、ロイネの友人のトマス・ボディーンをキーボードに迎えて最初のギグをやったら意気投合し、バンドとして活動することになりました(ハッセBとウルフはゲストミュージシャン扱いで、スタジオレコーディングに参加)。 |
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バック・イン・ザ・ワールド・オブ・アドヴェンチャー(1995年) Back in the World of Adventures ほのぼのと暖かみのあるシンフォニック・サウンドで、聴きやすいです。刺激感、スピード感には欠けますが、曲の構成、展開はイエス的プログレしています。 ハッセFは不参加。 |
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レトロポリス(1996年) Retropolis ジャケットの雰囲気そのままに未来的な感じのするサウンドになっています。キーボードは、あえてテクノっぽい無機質な感じを出しています。 それが泣きのギターや温かみのあるサックスのサウンドとうまく対比になっていて、エスニックともアジア系とも表現できる不思議なイメージがあります。 インストものは面白みがありますが、次回作スターダスト・ウィ・アーに比べて歌モノのメロディーが今ひとつのような気がするのが残念。 |
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スターダスト・ウィ・アー(1997年) Stardust We Are 2枚組アルバム。CD1はスリリングでスピード感のあるIn The Eyes Of The Worldでスタート。私はこの曲でフラキンにハートを掴まれました。 全体的に明るいキーボードを主体としたサウンドが展開されています。複雑に変化する曲の展開は、まさにプログレサウンドの王道と言った感じです。メロディーは親しみやすく、非常に聴きやすいアルバムです。 CD2はメインイベントのStardust We Areのサビのメロディが随所に出てきてじわじわっと盛り上げ、ラストはハッセFの透明感のあるボーカルが冴える25分のタイトル曲で大盛り上がりで終了。 長さを感じさせずあっと言う間に時間が過ぎていく感じがします。 |
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アライヴ・オン・プラネット・アース Alive on Planet Earth 1998年9月6日のアメリカ、チャペル・ヒル公演、9月11〜12日のカナダ、ケベック公演からの音源を収録したCD1、1999年3月15〜18の日本公演(東京、大阪)からの音源を収録したCD2のセット。 CD1ではトマスの代役でロバート・エングストランドがキーボードを弾いています。 カイパの曲(Nothing New Under The Sun)やトマスのソロアルバム収録曲(Three Stories)も演奏しています。 |
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フラワー・パワー(1999年) Flower Power 18パートもある60分組曲Garden of Dreamsを収録。オーケストラのコンサート直前の音合わせみたいなパートからスタート。ロイネの弾き語り風の2章に続けてトマスが種々の音色を使い分けるキーボードソロ主体のパートに移り、4章ではロイネがじっくりと歌って泣きのギターを聴かせます。 その後、キーボードとギターが主役を競うような展開。次第に曲の長さにげんなりとしてきたあたりで、8章でハッセのボーカルが入って気分転換。続けて、ハードロックな9章でパチッと目が覚め、その後、異次元風、ラテン風、テクノ風、幻惑風、教会コーラス風と、なんでもあり状態になっていき飽きが来ません。 フィナーレは泣きのギターでググっと盛り上げた後でロイネが熱唱してドラマチックに終了。 CD1は食後のデザート的な軽快インスト曲Astral Dogで終了。 これで十分にお腹いっぱいなのに、2枚目のCDもあります。明る目で気楽に聴ける曲が収録されています。 このアルバムを最後に、マイケルが自分の道を進むために脱退。 |
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スペース・リヴォルヴァー(2000年) Space Revolver ベースにヨナス・レインゴールドを迎えてレコーディング。随所に彼の絶妙な指さばきのベースラインが聴けます。 I Am the Sun part 1はピンク・フロイド的などっしりとしたリズムでスタートし、途中でサックスが幻惑的に入ったり、スピーディーなキーボードソロが入ったり、ロイネのアコギ弾き語りが入ったりとジェットコースター的に展開します。 幻想的なサックスの調をバックにロイネがしっとりと歌う曲を挟んで、Rumble Fish Twistはトマスの独壇場。前半はスピーディーで多彩なキーボードプレイが聴けます。後半はゆったりとした世界になり、静と動のコントラストがナイス。続くMonster Withinはハードな12分曲で緩急のコントラストが生きる目まぐるしい展開が楽しめます。 中盤はロイネとハッセFのボーカルのからみが絶妙な軽めの曲が入り、その後クライマックスに向けてググっと盛り上がる曲が入り、ラストはI Am the Sun part 2。アコギの弾き語り風でソフトに導入し、ラストはキーボードがシンフォニックに鳴って終了。思いのほか、あっさりとしたエンディングです。 |
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レインメーカー(2001年) The Rainmaker オープニングのLast Minute On Earthは前作と同様にゆったりとヘビーにスタートし、ハッセFが歌いあげます。しかし、特に展開することもなく、あっさりと終了。 その後の曲もおとなしめで面白みに欠けます。インストパートで圧倒するよりも、じっくりと歌を聴かせることを優先したという感じ。 アルバムのリリース後、ハイメが脱退。 |
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アンホールド・ザ・フューチャー(2002年) Unfold the Future トマスのプロジェクトでドラムを叩いたことがあるゾルタン・チョーズが、トマスの推薦で加入。 2枚組のCD1は31分超えのThe Truth Will Set You Freeで幕開け。ソフトでゆったりとした曲で、同じテンポの演奏が延々と続き、聴いていて飽きがきます。次のハードでアップテンポな曲が始まった時はホッとします。 キング・クリムゾンのMoonchildの後半的なインプロビゼーション大会から切れ目なくスリリングでハードなSilent Infernoのイントロにつながるところはカッコよいです。Silentの後半はハッセBのパーカッションとヨナスの速弾きベースを擁したジャズっぽい展開になります。 CD2はハード&ジャジーさが強まります。ロイネがハードなギターを刻むダークな曲でスタートし、ペイン・オブ・サルヴェイジョンのダニエル・ギルデンロウがゲストで歌う超スピーディーな曲に突入。インプロビゼーション大会曲に続くヘヴィーなRollin' the Diceでもダニエルが熱唱。ラストはハードさとジャジーさが同居した展開が面白い曲で終了。 |
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ミート・ザ・フラワー・キングス(2003年) Meet the Flower kings 2003年2月10日のスウェーデン、ウプサラでのライブ演奏を収録。これまでのアルバムの中から厳選された長編曲(The Truth Will Set You Free、Garden Of Dreamsなど)が収録されています。ダニエルがゲスト参加しています。 緻密で隙のない演奏が繰り広げられています。DVDを見ると、オリジナルアルバムで聴いていた曲で「あっ、これはこのように演奏されていたんだ」ということがわかります。 しかし、1曲が長くて、一気に聴きとおすのはしんどいです。1曲づつ日を変えて聴くほうがよいです。 |
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アダム&イヴ(2004年) Adam & Eve ソフトな20分曲で開幕。歌メロ主体の薄味で、初期のような荘厳さや激しい曲の展開は少なく淡々さに飽きてきます。 その後、短めの曲が続きます。A Vampire's Viewは怪しげなスリリングな曲でこのアルバムで正式メンバーとなったダニエルが演劇風に歌っています。Adam&Eveはギターのエッジが効いたハード曲でアルバムのアクセントになっています。 後半のハイライトは18分曲。シンフォニックに始まって、途中からスピードアップ。いい感じでスタートを切るのですが、曲の長さに次第に集中力が薄れてきます。 全体的に粗削りでざらついた感じがあり、初期の緻密さがなく、私はあまり好きじゃないです。 2005年のアメリカツアーの開始前、アメリカが導入した入国審査用の生体認証システムに反発感を持ったダニエルがツアーに帯同せず、そのまま脱退。ゾルタンも脱退。 |
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パラドクス・ホテル(2006年) Paradox Hotel マーカス・リリクィストがドラマーとして加入。 地球を人々がかりそめの生活を送るホテルに見立てた、キャリア初のコンセプト・アルバムとなる2枚組。 CD1はファーストやセカンドアルバムのサウンドに近い、ほのぼのと暖かいシンフォニック・サウンドが収録されています。CD2には、女性コーラスに泣きのギターがからんだピンク・フロイドっぽい曲や、70年代キング・クリムゾンのLarks tongue pt 2のフレーズが登場する曲などがあり、老舗プログレファンをニヤリさせます。 ちょっとメリハリにかけている感じがするのが残念。 |
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インスタント・デリヴァリー Instant delivery 2006年4月19日のオランダ公演をDVD2枚にたっぷりと収録。 私は買ったものの、映像と音声が微妙にズレていて、納得できずに返品。その後、修正版が出たのかどうか知りません。 |
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ロードバックホーム(2007年) The Road Back Home これまでのアルバムから27曲を選び、リマスター&一部リミックスを加えた作品(2枚組)。 プログレ臭があまりしない曲が選ばれており、「彼らの凄さ」を堪能することはできません。 初心者にはお勧めしません。 |
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ザ・サム・オブ・ノー・イーヴル(2007年) The Sum of No Evil マーカスが脱退し、後任にゾルタンが復活(レコーディングのみ参加)。 メロトロンを初め、新旧の多くのキーボードを駆使したシンフォニック・ロックが収録されています。 20分曲がひとつ、10分超曲が3曲と大作ぞろい。ゆったりとした、やさしさと温かみのあるサウンドが収録されています。まさに「悪なんてない」というイメージです。 ほんわかして心地よい反面、聴いていくうちに刺激の少なさに眠気を催してきます。 ボーナス曲と映像(パソコンで再生)つきのボーナスCDをセットした特別盤も同時発売。 |
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ツアー・カブット Tour Kaputt 2007年11月15日のオランダ、ズーテルメール公演を収録。ドラムはキング・クリムゾン休業中のパット・マステロットが叩いています。 サム・オブのほぼ全曲を演奏。 |
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バンクス・オブ・エデン(2012年) Banks of Eden ドラムとしてフェリックス・ラーマンが加入。 25分のNumbersで幕を開けます。壮大なシンフォニック・サウンドが収録されています。しかし、長い、長すぎる。聴いていて飽きてきて、集中が切れることしばしば。 |
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デソレーション・ローズ(2013年) Desolation Rose オープニング曲はダークな雰囲気があり、スピード感も適度で集中力を保って13分間聴きとおすことができます。 その後、ダークさや怪しさを感じる短めの曲がほぼ切れ目なく続きます。ジャケから感じる雰囲気と相まってゾクゾク感にあふれています。 後半のハイライトは重厚なシンフォニックなダークさたっぷりの曲。続く曲はハッセFのハイトーンを活かしたソフトなバラードで癒した後は、弟マイケル、ナッド・シルヴィアン、アンディ・ティルソン(ザ・タンジェント)、デクラン・バーク(元FROST*)ら錚々たるメンツがコーラスに参加した荘厳合唱曲で終了。 久しぶりに、最初から最後まで緊張感を持って一気に聴けるアルバムになっています。 ロイネ、ハッセF、ヨナス、トマス、フェリックスのメンツで2015年4月26日に東京で開催されたヨーロピアン・ロック・フェス2015に参加。その後、各メンバーが他のプロジェクトで多忙のため開店休業。 |
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マニフェスト・オブ・アン・アルケミスト(2018年) Manifesto of An Alchemist ロイネ・ストルトズ・ザ・フラワー・キング名義でリリースしたロイネのソロアルバム。 ドラムにはマルコ・ミネマン、ベースには弟マイケルとヨナス、キーボードにザック・カミンズを起用。 実質のオープニング曲はさわやかな明るめの雰囲気でスタートし、中盤からハードに変化します。親しみやすいメロディーで合唱できるサビがナイス。 10分を超える曲は1つのみ。適度な長さで、ソフト&爽快な曲が続きます。インスト曲のRio Grandeではマルコのドラムとロイネのギターのからみが心地よし。The Alchemistでは、ロイネがスティーヴ・ハケットのバンドで共演したことがあるロビン・タウンゼントが奏でるジャジーなサックスの音色が耳に馴染みます。 ラストの曲では若干ダークな感じでロイネがじっくり歌います。 さほど盛り上がることなくあっさり目にアルバムが終了。物足りなさが残ります。 |
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ウェイティング・フォー・ミラクルズ(2019年) Waiting For Miracles マニフェストの発売後、ロイネ、ハッセF、ヨナス、ザック、ミルコ・デマイオ(Dr)で、「ロイネと仲間たち」名義、その後、フラワー・キングス・リヴィテッド名義でツアーを実施。それが順調に行ったために、このメンバーでフラワー・キングスとして活動していくことを決定しました。 出だしは名刺交換代わりにザックのピアノソロでスタート。Miracles of Americaはハード目のギターがリズムを刻む中、ハッセFがポップ目なメロを歌い、サビでは合唱。10分間で様々に展開して楽しいです。 過去の演奏スタイルの総集編みたいな感じで進むなか、映画音楽風の激しい展開をみせるインスト曲Ascending to the Starsはインパクトがあります。 とても聴きやすく、すっと耳に馴染みます。しかし、トマスの不在の穴は大きくキーボードのサウンドに意外性がなく面白さとしてはいま一歩。彼らの凄さを実感することはできないので、初期の5〜4星クラスをまず聴きましょう。 このアルバムをひっさげて2020年1月に来日。その時の様子は私のブログをご覧ください。 |
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アイランズ(2020年) Islands 孤立、喪失、つながりがないことへの恐怖をテーマにした2枚組アルバム。21つの短い曲を組み合わせた構成になっています。 同じようなアレンジでゆったりとしたリズムの曲が延々と続き、次第に飽きてきます。「せっかくの新作だから、しっかりと聴かなければならぬ」と思い、何回も挑戦していますが、途中で「もういいや」という気持ちになり、未だに完聴できていません。 |
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バイ・ロイヤル・ディクリー(2022年) By Royal Decree ヨナスがスティーヴ・ハケットのツアーで超多忙でレコーディングに部分参加しかできなかったため、マイケルがベーシストとして復活(ヨナスはツアーメンバーからは離脱)。 |
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ルック・アット・ユー・ナウ(2023年) Look at You Now アメリカに住んでいるザックが、ツアーに出るための個人出費がしんどいという理由で脱退。 アルバム全体に速遅、強弱、濃淡がついていて、飽きることなく進んでいき、とても耳に馴染みます。 ゲストの女性ボーカルとのデュエット曲の後は、12分曲。ゆったりと始まって途中からスピードアップ。複雑に展開するプログレ絵巻になっています。 |
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