Francis Dunnery


Welcome to the Wild Country

バラード曲でピアノが入る以外、ギター、ドラム、ベースのトリオでの演奏。オープニングのパワフルな曲を聴くだけで、初のソロアルバムにかけるフランシスの気合を感じます。

複数の曲でサビに女性コーラスを起用して厚みを加えています。

イット・バイツの華麗なサウンドやプログレ的展開を期待するとガッカリしますが、フランシスの独特な声質が楽しめる純粋ロックアルバムだと割り切って聴くと、曲のよさを感じれるようになります。

Fearless

ほぼ全楽器を自分で演奏して、さまざまなタイプの曲に挑戦しています。

前作にあった熱気はさほど感じず、「力みを抜いて、気楽にやってみました」的な感じ。ゴン太ロックではなく、軽快でおしゃれな感じがします。

数曲、ストリングが厚みを加えている曲があります。

One Night in Sauchiehall Street

フィアレスのプロモーションのために行ったフルアコースティックでのイギリスツアーでの1995年1月31日のグラスゴー公演を収録したもの。

彼ひとりがアコギを弾きながら歌うのがメインで、時おりサポートメンバーのアシュリー・リークスがアコギとハモリで加わっています。

クールでおしゃれ的だったフィアレスの曲がアコギアレンジになったことで生まれ変わり、彼のメッセージがストレートに伝わってくる勢いを感じます。

イット・バイツ曲を3つ演奏。アコギアレンジで新鮮味があります。

Tall Blonde Helicopter (1995年)

ギター、ベース、ドラムのシンプルな構成で演奏しているのはファーストと同様ですが、気合でガンガンと来る勢いではなく、リラックスして演奏している感じがします。アコギを抱えたフランシスがバンドをバックに楽しそうに演奏している姿が目に浮かびます。

時おり入る、牧歌的なアコギ弾き語り曲には懐かしさを感じて心が休まります。

聴いていてほっこりとした気持ちになれるアルバムです。

Let's Go Do What Happens (1998年)

キーボード、女性コーラス、管楽器が加わり、音にリッチさ、ゴージャスさが加わりました。

音数の多さを活かしてハード曲、ポップ曲、グイグイ曲、リラックス曲といったバラエティに富んだ曲が収録されていて、おもちゃ箱的に楽しめます。

メロディーラインや歌いっぷりに、これ以前のソロアルバムよりもイット・バイツさを感じます。

アルバムのプロモーションに力を入れない音楽産業に不満を抱いた彼は、1998年に半ば引退生活に入ります。

Man (2001年)

フュージョンバンドのシャクティのコンサートをテレビで見て、突如ミュージシャン魂が蘇って音楽業界に復帰。自分自身のレーベル、アクエリアン・ネーションを立ち上げました。

ドラムレスで、アコースティックな演奏をバックに歌っています。派手さはなく、おとなしめの曲が続きます。安らいだ気持ちになりたい時にはよいでしょう。

後半になると打ち込み系のパーカッションが目立ち、エレクトリックっぽくなり雰囲気が一転します。

女性ボーカリストのエリン・モーランとの声のからみが心地よい場面あり。

ダウンロード音源はアイコンの都合上ハイレゾと書いていますが、たぶん16bit/44.1kHzです。

Hometown 2001

2001年6月14日の地元、イギリスのカンブリア公演を収録。

フランシスとベーシストのマット・ペグの二人で演奏しています(一部の曲でゲストで他のバンドメンバーがギターを弾いています)。

全面アコースティックで音数が少ない分、フランシスの歌声をじっくり味わえます。地元でのコンサートで、リラックスしていることが伺えます。

ダウンロード音源はアイコンの都合上ハイレゾと書いていますが、たぶん16bit/44.1kHzです。

The Gulley Flats Boys (2005年)

ほぼドラムレスのアコギの弾き語り風アルバム。おとなしめで、ゆったりとした気持ちになれます。

「単調で飽きて来たな」と思ってきたところで、デヴィッド・サンチェスのピアノをフィーチャーした曲、女性ボーカリストとのハモリ曲やエレキギターが入り、集中力が戻ります。

ジャズ風のデヴィッドのかろやかなピアノに新鮮味を感じます。

There's a Whole New World Out There (2009年)

イット・バイツ曲の再演奏やプログレへの新たなアプローチのために、ザ・ニュー・プログレッシヴスというプロジェクトを開始。

その一環で、イット・バイツや彼が影響を受けたジェネシスやジャパンなどのアーティストの曲のカバーを収録しています。

Made in Space

打ち込み系のリズムに、つやのあるキーボードが前面に出ているエレクトロ・ポップ作品。ギターレスでロック色が全くないです。

フランシスの声がエフェクターで変調されていてすごい違和感があります。

単調で全く盛り上がる気配を見せないなか、女性コーラス隊が華やかさを加えているのは救い。

ダウンロード音源はアイコンの都合上ハイレゾと書いていますが、たぶん16bit/44.1kHzです。


(リミックス版)

Frankenstein Monster

2008年5月に癌のために56歳で死去した兄(10歳年上)が、所属バンドのネクロマンダスのために書いた曲を再レコーディングしたもの。子供のころから兄のギタープレイを耳にしていて、かなり影響を受けたそうです。兄の曲が多くの人の耳に届いていないことが気になり、このアルバムを作りました(詳しくはこちら)。

死に際の母親に「兄弟でアルバムを作る」という約束したものの、気難しい兄との共作はかなわず、ようやくこのアルバムで実現しました。自分の曲をオープニングとラストに収録することで、兄弟で作ったアルバム感を高めています。

ギターをギンギンに弾いたご機嫌なハードロック曲が収録されています。聴いていてスーッと耳に馴染みます。

Vampires

センチメンタル・フランシス・ダナリー・バンドを結成し、イット・バイツの名曲たちを再レコーディング。

「80年代のレコーディング・プロダクションが曲の数々を傷つけていたと思っていて、現代の音質でもう一度レコーディングをして、自分の過去を完成させたい」という思いがあったとのこと(詳しくはこちら)。

間奏やエンディングでのギターソロが長くなったり、インストのアレンジが厚めになったりしていますが、歌のバッキングの演奏はオリジナルとさほど変わりないです。

円熟味があるのはいいのですが、私としては若さギンギンで勢いがあるオリジナルの方が好み。

Return to the Wild Country

ファースト・ソロアルバムを再録音したもの。

ダウンロード音源はアイコンの都合上ハイレゾと書いていますが、たぶん16bit/44.1kHzです。

Live in Japan

2016年11月1日、2日のセンチメンタル・フランシス・ダナリー・バンドでの東京公演を収録。

イット・バイツの名曲を演奏しています。

One Night in Tokyo

2016年11月3日の東京公演を収録。

南青山のライヴハウスでのアコギ1本の単独コンサートで、彼の歌声がストレートに耳に届きます。

ソロ曲を主体にイット・バイツ曲も演奏。Still Too Young to Rememberでは客がコーラスを入れていて、フランシスと客が一体となって和気あいあいと楽しんでいる様子がうかがえます。

彼のMCも収録されています。MCには通訳がついています。彼のトークの面白さに通訳が失笑しながら訳しているシーンが微笑ましいです。

The Big Purple Castle

「希望」「深淵」「新世界」という3つのコンセプトで構成された3CD。詳細についてはフランシスのインタビューをどうぞ(前編後編)。


(2CD+Blu-ray)


(2CD+Blu-ray)

Live From The Black Country

2019年に本家が活動終了を宣言したためか、バンド名に「イット・バイツ」をつけた新バンド「イット・バイツ FD」を結成。若手プログレ職人のルーク・マシン(G:タンジェント、カルナタカ他)、ピート・ジョーンズ(Key:キャメル他)を起用した、2023年1月20日のイギリス、ウルヴァーハンプトン公演を収録。

The Blues of Tombstone Dunnery

オリジナルのブルース曲を収録。

Return To Natural

イット・バイツ FDとして制作。

元祖のファースト、セカンドにあったようなひねくれ感やプログレ風味は薄く、「こりゃ、たまらん」という曲はないです。でも、きらびやかで、ロックさだけでなく、ジャズっぽさもあるサウンドをバックに親しみやすいメロディーを歌うフランシスの声が耳に馴染んで心地よいです。

Lonely Robot

Please Come Home

ジョン・ミッチェルのソロプロジェクトで、ドラムをクレイグ・ブランデルが叩いている以外、ほぼ全ての楽器をジョンが演奏しています。

宇宙飛行士3部作の1作目で、地球上の生命はこの惑星から生まれたのではないというアイディアから生まれたアルバムです。

宇宙空間っぽいホワーンなサウンドに続いてドラマチックなインスト曲で幕開け。続くスリリングなハード曲でプログレワールドに引きこまれます。

タイトル曲ではフロスト*のジェム・ゴッドフリーがキーボードやスティックを演奏し、目まぐるしく展開する壮絶プログレ曲になっています。

ポップ曲、ハートに染みるしんみりバラード曲も交えて、アルバム全体に起伏に富んでいて楽しめます。

ニック・ベッグスも何曲かでベースを弾いています。たまに入るゲストの女性ボーカルがいい味を出しています。

The Big Dream

主人公の宇宙飛行士が極低温睡眠から目覚めたら、そこは宇宙ではなく森林地帯で、動物の頭を持つ奇妙な人々のグループに囲まれていたというストーリーを描いています。ジョンはインタビューで「禅の瞑想のメリットをみんなに与えたかった」とコメントしています。

第2弾ということあってか、前作に似たアルバムの構成で、特に前半は「次はこの曲調だな」という予想が的中します。インストのタイトル曲以外、特にプログレ的展開をする曲はなく、普通のロック&バラードです。

ドラムは前作に続いてクレイグが担当。「ここでこれを叩くか!?」という箇所がいくつかあり、彼がいろいろなミュージシャンから重用されていることがわかります。

Under Stars

宇宙飛行士シリーズの最終作。最近、人々が自分たちの周りの美しさに目を向けようとせず、スマホやテクノロジーに多くの時間を費やしていることをテーマにしています。

前作までのグイグイくるハードさは薄れ、メロウな感じがするおとなしめの曲、幻想的な曲が続きます。同じようなアルバムを3つ続けて聴かされると飽きるので、この変化はまあ許せる範囲。

ジョンの渋い声、泣きのギターをじっくり聴く分にはいいですが、聴き終わった時に「えっ、これで終わり?」というあっけなさを感じます。

Feelings Are Good (2020年)

ボコーダーの語りが入ったローファイ感覚でスタートして、ポップな曲に行って、ハード目の曲に入る流れはナイス。

前3作のSFから離れ、内省的&個人的な内容をテーマにしただけに、その後はメロウな曲が続き、プログレさは感じません。

ジョンの渋い声、泣きのギターをじっくり聴く分にはよいです。

A Model Life (2022年)

プログレ的な展開がない、フツーのロックです。たまに勢いのある曲が入りますが、しっとり系の曲がほとんど。聴いていて面白みがないです。







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