ルネッサンス(1969年) Renaissance ヤードバーズのオリジナルメンバーのキース・レルフとジム・マッカーティが、ジミー・ペイジの台頭によりヤードバーズを脱退して結成。 ヤードバーズと異なる路線を追求すべく、ロック、フォーク、クラシックの融合を求めており、ジョン・ホウクンの華麗なピアノは聴きごたえあります。 しかし、歌メロはいま一つ。ジェーン・レルフの歌声はいいものの、キースの声には魅力を感じません。 第2期のサウンドを期待して聴くと肩透かしを感じます。 |
||
フィルモア・ウェスト1970 Live Fillmore West 1970 1970年3月6日にサンフランシスコでポール・バターフィールド・ブルース・バンドの前座として演奏したものを収録。 音が悪く、この時代でウリのジョンのピアノがくすんでいます(おもちゃのピアノに聴こえる)。ジェーンの声もヘンに聴こえます。 聴いていて辛くなって聴きとおせていません。 アメリカツアーでヤードバーズ的な音を期待する客が多くて新しいサウンド方針がウケなかったことにショックを受け、意気消沈。 |
||
Live Fillmore West and Other Adventures 上記のライヴ音源、ドイツの音楽テレビ番組Beat ClubやBBCラジオでの放送用音源などの1969〜70年の全9公演のライブ音源、デモなどを収録。 DVDにはBeat Clubの映像や1969年撮影のドキュメンタリーなどを収録。 |
||
イリュージョン(1971年) Illusion レコーディング開始早々にジムとキースが脱退したのを皮切りに、メンバーが次々に脱退していくなかでレコーディングされた作品。 前半はピアノとコーラスを主体にしたほんわかとした温かみのある曲が続きます。 4曲目は、途中参加のマイケル・ダンフォードが作曲し、ほぼ新加入メンバーでレコーディングした曲。のちに「運命のカード」のRunning Hardで再利用されるフレーズが登場して面白味があります。続くFace of Yesterdayはピアノをバックにジェーンがしっとりと歌う曲。彼女のスキャットが美しいです。 ラストは、「せっかく手がけたからにはきちんと終わらないとね」と思ったのか、オリジナルメンバー(ジョンH以外)が再度集まり、ジャズロック風の14分超え曲を演奏。アルバムの余り時間を埋めるために引き伸ばした感があり、間延びしているのは残念。 |
||
プロローグ(1971年) Prologue 前作を巡るゴタゴタの間に加入したアニー・ハズラムのボーカルとジョン・タウトのピアノに惚れたマネジャーが二人をメインにしたバンドでやっていくことを決定し、メンバー総入れ替えでジョン・キャンプ(B)とテリー・サリバン(Dr)を加えて再出発した作品。 ピアノのフレーズで幕を開くところは、全盛期のクラシック・ロック・サウンドの片鱗を感じさせます。 アニーのスキャットとピアノを活かしたスピード感のある1曲目を聴くだけで新生バンドの意気込みが伝わります。 本作のみで参加しているギタリストのロブ・ヘンドリーが弾くエレキギターが音を濁らせているのが残念。 マイケルはバンドの裏の牽引者として作曲&アレンジャーとしての参加のみで演奏していません。 |
||
燃ゆる灰(1973年) Ashes are burning 前作完成直後にロブが脱退し、後任ギタリストとしてマイケルが復活(契約の都合上、正式メンバーになれなかったのでゲスト扱いで、ジャケにも顔出ず)。 クラシカル・ロック・サウンドが確立した作品で、一曲目のインパクトのあるピアノソロから背筋がゾクゾクさせられます。その後にアコースティック・ギターをバックにハズラムがクリスタル・ヴォイスで歌い始めるという芸術的な流れに心を揺るがされない人はいないでしょう。 最後を閉めるタイトル曲はスリリング感溢れる長編曲。後半のウッシュボーン・アッシュのアンディ・パウエルが弾くギター・ソロを聴き終わった後は、深い感動を味わえます。 長編二曲に挟まれた曲は爽やかなフォーク調の曲がほとんど。透明感溢れる美しい曲ばかりで、心が洗われます。 輸入盤にはボーナストラックとして1974年のBBCでのライヴ音源(3曲)を収録。 |
||
ディ・レーン・リー・スタジオ 1973 De Lane Lea Studios 1973 1973年秋にBBCラジオ放送用に収録された音源。当時、「グランドピアノがある会場ならやるけどね…」とツアーの実施に消極的で、代わりにラジオ放送するためにロンドンのスタジオに観客を招いて行った企画です。 高域はよく出ているのでモヤモヤ感はありませんが、音が横に細かく揺れる感じがするのです(最初センターで鳴った音が余韻の間に左右に揺れながら聴こえる)。これが延々と続き気持ち悪くなり、最初は完聴できませんでした。これに慣れてくると華麗なコンサートを楽しめます。 |
||
運命のカード(1974年) Turn of the cards レコード会社移籍により契約問題が解消されたためか、マイケルが正式メンバーと認定されました。 前作にみられた「爽やか系」の曲が減り、ヨーロッパ大陸的な重厚なサウンドが強まった曲が収録されています。特にラスト曲の荘厳さは圧感。 これ以上の説明はいらないくらい素晴らしいです。 2020年に、「アカデミー・オブ・ミュージック1974」を収録した2CDとハイレゾステレオや5.1chサラウンド音源を収録したDVDとのセットが発売。「アカデミー」は下記のCDよりも音質がクリアです。 |
||
アカデミー・オブ・ミュージック1974 Academy of Music 1974 1974年5月のニューヨーク公演を収録。24人編成によるオーケストラをひっさげて「燃ゆる灰」と「運命のカード」の曲を中心に演奏されています。 もともとFMラジオ放送用の音源で、2015年になって突如CD化されました。 若干バックグラウンドノイズがあり、こもり気味なものの、完璧な演奏を収録。楽しそうに話すMCも入っていて、なごやかな雰囲気を感じます。どうせ買うなら「運命のカード」の3CDをどうぞ。 |
||
シェラザード夜話(1975年) Scheherazade & other stories 前半の3曲はポップ調の曲あり、しっとりと語り聞かせる曲ありとルネッサンスの懐の深さを感じさせます。 ラストの20分組曲ではオーケストラをフィーチャーした重厚な音を聴かせてくれます。ちょっと長すぎて、聴いているうちに集中力を失いそうになることがありますが・・・。 2014年にはSACDが発売。CDとは比べ物にならない透明感と深さがあります。詳しくはこちら。 2021年11月に、ハイレゾ音源とアップミックス5.1chを収録したDVD、1976年1月24日のイギリス、ノッティンガム大学での公演を収録したCDとのセットが発売。 |
||
ライヴ・アット・カーネギー・ホール Live at Carnegie hall 1975年6月20〜22日のニューヨーク公演を収録。ニューヨーク・フィルハーモックをバックにしたライブ音源です。Scheherazadeが完全収録されています。 第2期ルネッサンスの前半のベスト曲をライブ演奏で楽しみことができます。 2019年に、1976年3月25日のロンドン公演をボーナスCDに収録したリマスター盤(3CDセット)が発売。。 |
||
ブリティッシュ・ツアー’76 British Tour 76 1976年1月24日のイギリス、ノッティンガム大学での公演を収録。オーケストラの帯同はない、バンドのみでの演奏。 冒頭は音がこもった感じがして「ハズレか?」と思ったものの、聴き進んでいくうちに気にならなくなり、音のバランスが良い安定した演奏を聴けます。 Scheherazadeにオーケストラがないのに、ジョンTが頑張ってキーボードを駆使しているので違和感なくシンフォニックさに浸れます。 ラストのAshesでは20分に拡張された濃厚な演奏を聴けます。 |
||
キャピトル・シアター 1976 Capitol Theater, NJ 1976 1976年5月21日のアメリカ、パサイクでの公演をフル収録。 オーケストラの帯同はなく、Scheherazadeがバンド演奏のみで収録されています。 |
||
お伽噺(1977年) Novella 怪しさたっぷりのジャケットそのものの、魔性的なサウンドが収録されています。ピンク・フロイドのようなダークなサウンドが好きな方は、このアルバムが一番好きになるかと思います。 この作品まで、第2期ルネッサンスのアルバムは「ピアノで始まる」というお決まりでしたが、それを覆す衝撃的なオープニングになっています。 魔性的だけじゃなく、底知れない美しさも兼ね備えており、「暗い井戸の底でキラキラと輝くダイアモンド」という印象がします。 2019年に以下のキングス・ビスケット・ライヴを収録した2CDとのセットが発売。 |
||
キング・ビスケット・ライヴ Live at the Royal Albert Hall 1977 King Biscuit Flower Hour 1977年10月14日のロンドン公演を収録。ラジオ番組キング・ビスケット・フラワー・アワーでの放送用に収録された音源を使用。 「お伽噺」の収録曲を主体に演奏。Scheherazadeが完全収録されています。 ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラと共演して、バンドの演奏とうまくマッチしていて、豪華さ&曲の魅力がアップ。 ラストのAshesはジョンCのベースソロがフィーチャーされた28分に拡大されています。圧巻です。 |
||
四季(1978年) Song for all seasons アメリカ市場を意識したそうで、前作の魔性的なイメージが一新され、これまでにないとても明るいサウンドに変わりました。 一曲目はヨーロッパ的な深みのある曲ですが、それ以降は明るいポップ・サウンドが展開されています。なかでもNorthern lightsは思わず口ずさんでしまうとてもよくできた曲です。 ラストのタイトル曲はオーケストラを大々的にフィーチャーしていますが、あまり盛り上がらずあっさりとしています。全体的に薄口で、プログレ的には物足りませんが、聴きやすいアルバムです。 2019年に、1978年12月4日のフィラデルフィア公演を収録した2CDをセットしたリマスター盤が発売。 |
||
Live at the Capitol Theater - June 18, 1978 1978年6月18日のアメリカ、パサイクでの公演を収録。バンドのみでの演奏です。 出だしはシンセやボーカルの音量が低すぎて「ハズレか?」と思いきや、すぐに調整が入り、以降、クリアな音質で聴くことができます。 |
||
ライヴ・アット・ザ BBC Live at the BBC Sight & Sound 1975〜8年のBBC出演時のライヴを収録した3CDとDVDをセットしたもの。 CD1は1977年1月8日(お伽噺のアメリカ発売直前)、CD2は1975年5月8日(シェラザードのレコーディング最中)と1978年8月19日(四季の発売後)、CD3は1976年3月25日(お伽噺レコーディング開始ちょい前)の公演を収録。 DVDには1977年1月8日の公演を収録。 詳しくは私のブログをご覧ください。 |
||
碧の幻想(1979年) Azure d'or 前作から見え始めたポップ路線を進めた作品。曲のアレンジはこれまでのサウンドを踏襲していますが、メロディーがいまひとつ。 前半はポップ調が心地よいのですが、聴いていくうちに飽きてきます。金を払ってまで聴く価値はありません。 2022年11月に、ハイレゾ音源と5.1chを収録したBlu-ray、リマスターCD、新ステレオミックスCDのセットが発売。聴いた感想はこちら)。 発売後のツアー終了後、ツアーでの演奏で大きな間違いをしでかしたジョンTがショックをぬぐえずに脱退し、仲がよかったテリーも一緒に脱退。 |
||
Song of Scheherezade 1976年5月と1979年7月のライブ映像を収録。 白黒画像&モノラル音声で、画質、音質ともによくありません。しかし、当時の彼女らを記録した貴重な映像には違いありません。熱狂的ファン向け。 |
||
ライヴ・イン・アズベリー・パーク 1979 Live In Asbury Park 1979 1979年7月28日のニューヨーク公演をフル収録。ラジオ放送用に収録された音源を使用。 |
||
カメラ・カメラ(1981年) Camera camera クラシカルなサウンドの核だったジョンTが脱退してしまったためにサウンドを転換させてポップに走った作品。 1曲目のビートが効いたドラム、ピョローとした軽薄シンセ、軽いギターのカッティング、そしてやたら音域高く歌っているアニーの声を聴いて、サウンドの変容ぶりに驚きます。 「脱プログレの軽めのシンセポップアルバム」として割り切れば悪くはないですが、金を払って聴くまでのことはないです。 |
||
タイムライン(1983年) Time-line 垢ぬけたロック&ポップなアルバム。キーボードの音はコード主体で脇役に徹している感じ。 「脱プログレだ」と割り切って聴けば、ジョンCのブリバリったベースやアニーの歌声をそこそこ楽しめます。しかし、金を払う価値はなし。 ジョンCがリードボーカルの曲をラストに配置したのは驚き。この時代の力関係がわかります。 結局、路線変更はうまく行かずに解散。 |
||
トスカーナ(2001年) Tuscany 1998年にアニー、マイケル、テリー、ジョンTが再集結してアルバムのレコーディングを開始。途中でジョンTが離脱したのでキーボードのほとんどはミッキー・シモンズが弾いています。ロイ・ウッド(ELO創設者)がゲストで参加し、ベースやオーケストラアレンジを担当。アルバムは早々にできたものの、発売してくれるレコード会社がなかなか出てこず、ようやく2000年10月に日本で先行して発売されました。 全盛期の音に近いクラシカルなアレンジが施された爽快な曲が収められています。 しかし、アニーの声は老化しており、同一人物とは思えない「オバチャン声」になっています。 この声が許せる方なら十分に楽しめると思います。 |
||
ライブ・イン・ジャパン2001(2002年) In the land of the rising sun: Live in Japan 2001 2001年3月に、トスカーナをレコーディングしたアニー、マイケル、テリー、ミッキーに加え、アニーのバンドのレイヴ・テザー(Key)とデヴィッド・J・キーズ(B)でミニツアー開始。ロンドンで1公演なのに、日本で3公演もやってくれ、私は大阪公演に行けました。予想を遙に超える素晴らしいステージでした。オーケストラのサウンドを完全に再現したキーボードサウンドは、とても広がりがあり、重厚で、アニーは素晴らしいハイトーンを聴かせてくれました。 でも、2001年3月16日の東京公演を収録したこのCDで聴くとオバチャン声が目立ってしまい、その感動を再現できないのは残念。 アニーのソロアルバムの曲が多く、「ルネッサンスの曲をもっとやってよ!」という不満が残ります。 このまま活動が続くかと期待したものの、諸般の事情によりツアー終了後に再び活動停止。 |
||
ツアー2011〜運命のカード/シェエラザード夜話〜完全再現ライヴ! Tour 2011 Live in Concert 2009年、ルネッサンス結成40周年を記念して再起動。2010年8月21日には一夜限りの来日公演を実施。往年の名曲に加え新曲の怒涛のプログレ曲The Mystic and the Museを披露してくれ、「まだまだ現役でいける」と確信しました。バンドマスター的なレイヴの活躍が目立ちました(当時の様子はこちら)。 2011年9月23日のアメリカ、グレンサイドでの「運命のカード」と「シェエラザード夜話」を完全再現公演を収録。 |
||
消ゆる風(2013年) Symphony of Light(旧題:Grandine Il Vento) 1曲目は12分の組曲風の大作。「燃ゆる灰」や「運命のカード」あたりのサウンドを彷彿とさせる、ゆったりとした抑揚のあるシンフォニックでヨーロッパ風の味付けの曲です。 ラストの曲は、ミステリアス&展開が目まぐるしく、ルネッサンス史上、最も強烈なシンフォニック・プログレ曲です。 この2曲に挟まれた曲も、聴きやすいです。ジョン・ウェットンとアニーのデュエット曲は絶品です。詳しくはこちら。 輸入盤は、3曲追加して改題したうえで、2014年に再発売されました。 レコーディングを終えた直後の2012年11月にマイケルが脳出血で急逝。 |
||
ライヴ・アット・ジ・ユニオン・チャペル Live at the Union Chapel 2015年4月16日のロンドン公演を収録。 |
||
シンフォニック・ジャーニー:ライヴ・イン・USA A Symphonic Journey 2017年10月のシンフォニック・ジャーニー・ツアーでのアメリカ公演を収録。 9人編成のストリングセッションも演奏に加わっています。 2018年9月に来日公演を実施。ストリングセッションはありませんでしたが、このDVDとほぼ同じセトリを演奏してくれ、とてもよかったです(詳しくはこちら)。 |
||
燃ゆる灰:50thアニヴァーサリー・ライヴ・イン・コンサート 50th Anniversary Ashes Are Burning-An Anthology Live in Concert 2019年10月12日のアメリカ、グレンサイドでのデビュー50周年記念コンサートを収録。オーケストラも参加。 元祖メンバーのジム・マッカーティがIslandとAshesでゲスト出演しています。 |
Copyright shig-sak