Matching Mole


(2CD)

Matching Mole

ソフト・マシーンを脱退したロバートが、フィル・ミラー(g)、ビル・マコーミック(b)、キャラヴァンを脱退したデイヴ・シンクレア(Key)を誘ってマッチング・モウルを結成。デイヴ・マクレエ(key)がゲスト参加しています。

1曲目のO Carolineはロバートがソフトに歌うほんわか曲なので、ジャケットのイメージから「ロバートの声がじっくり聴けるポップ系な曲が収録されているアルバム」だと思ったら、2曲目以降大違い。

浮遊感のあるキーボードをバックにロバートがスキャットを入れる曲、各メンバーが自由奔放に演奏しまくるジャズ・ロックなインプロ大会など一筋縄ではいかない曲が連発され、ラストはデイヴSが初期ピンク・フロイドを連想させる神秘的なキーボードを鳴らす曲で終幕。

レコーディング終了後、デイヴSが脱退。彼はハットフィールド・アンド・ノースに加入します。

1972年1月と4月のイギリスBBC放送のためのライヴ音源やアーリーテイクを収録したボーナスCDをセットした2CDもあります。

March

1972年3月のヨーロッパでの公演を収録(22日のロンドンか?)。キーボードはデイヴMが弾いています。

Smoke Signals

1972年5月15日のパリ公演の音源を主体に、ヨーロッパ各地での音源を収録。


(2CD)

Matching Mole's Little Red Record

当時ジャズ風のアイランドをリリースしたキング・クリムゾンのロバート・フリップがプロデュース。ジャズ・ロックなアルバムになっています。

フィルのギターから奔放さが薄れ、ロバートがクリムゾンで弾いているようなロングトーンをメインにしたプレイになり、ミックスも小さく面白みに欠けます。その代わりにデイヴMがけっこう自由なキーボードを奏でています。

8分間曲のGloria Gloomでは、当時、ロキシー・ミュージックのファーストを出したばかりのブライアン・イーノがのちのアンビエントさに通じる幻惑的なシンセを弾いています。

1972年7月27日のロンドン公演やアーリーテイクを収録したボーナスCDをセットした2CDもあります。

ヨーロッパツアー終了後の9月、フィルが脱退し、ハットフィールド・アンド・ノースを結成。

1973年になり新メンバーでサードアルバムをレコーディングしようとした矢先、6月1日に開かれたゴングのジル・スマイズの誕生日パーティーの際に、酒に酔ったロバートが家の4階の窓から誤って転落してしまい、脊髄を損傷して下半身不随となったために解散。



Robert Wyatt

The End Of An Ear

ソフト・マシーンの3と4のレコーディングの間に作成したアルバム。ソフト・マシーンの同僚エルトン・ディーンや後にマッチング・モウルを結成するデイヴSも参加。

Rock Bottom

長年の友人、ピンク・フロイドのニック・メイスンをプロデューサーに迎えて、転落事故からの退院直後からレコーディング開始。

ゆったりとしてロバートの歌声がじっくりと味わえる曲が並んでいます。バッキングは曲によって、キーボード主体、エコーたっぷりトランペット主体、クリーンなギター主体などと変化していきます。

ラスト曲の前半ではマイク・オールドフィールドがエレキを弾き、後半ではハーモニウムやビオラをバックに念仏的なセリフが入り、不思議な雰囲気が漂うなかで終了。

派手さも刺激性もなく、初めのうちは「退屈なアルバム」という印象でしたが、何回か聴いていくうちにゆったりさが心地よくなってきました。

Theatre Royal Drury Lane

1974年9月8日に、ロック・ボトムのレコーディングに参加した友人らをバッキングメンバーに迎えてロンドンで開かれたコンサートを収録。

ロック・ボトム全曲に加え、ワイルド・フラワー、ソフト・マシーン、マッチング・モウルの曲も演奏され、ロバートの足跡がわかるセトリになっています。

事故以来、初めてのコンサートのためか、出だしのロバートの声から多少ビビっている感が伝わってきますが、ロック・ボトム曲では自信に満ちた声になっています。ライヴ向けにアレンジされていてオリジナルよりも曲にパワーがあり、「この曲ってこんなに魅力的だったかな?」とロック・ボトムを聴きなおしてしまいました。

Ruth Is Stranger Than Richard

LPレコードでは、片面がSide Richard、もう片面がSide Ruthと名付けられ、雰囲気が全く異なる曲が収録されています。

Side Richardでは、ピアノ弾き語り風の短い曲を導入にして、ピアノと管楽器がゆったりとした絡む曲が続きます。5 Black Notes and 1 White Noteではブライアン・イーノがシンセとギターで参加。幻想さアップに貢献しています。このサイドのラスト曲では美しいピアノをバックにロバートがしっとりと歌ったり、スキャットを入れています。静寂感が心地よし。

一転してSide Ruthはボーカル主体になり、サックスの音色に温かみとほのぼのさを感じる明るい曲が並びます。とても耳に馴染みます。

Old Rottenhat

ゲストミュージシャンなしで、すべての楽器(ピアノ、キーボード、ベース、パーカッション)をロバートが演奏しています。

派手さや奇抜さは薄く、ほわっとした演奏をバックに、ロバート独特の声が映え、じっくりと彼の声に聴き惚れることができます。

寝る前に聴くと、心が落ち着いて安らかに眠れます。

Dondestan

これまた、ロバートが全楽器を演奏。

曲の音数や雰囲気はロットンハットに似ているものの、特に惹かれる曲もなく、淡々と時が過ぎていく感じ。

1991年の発表時には、予算オーバーと時間不足で、満足のいくミックスができないままリリースせざるを得ず、1998年にリミックス&曲順入れ替えされ、「ドンデスタン(リヴィジテッド)」というタイトルで再発されました。

Shleep

フィル・マンザネラ、ブライアン・イーノなどの多数のミュージシャンをゲストに招き、演奏が多彩になったことで楽しさアップ。

ロバートの歌声を味わうだけでなく、「ルース」の頃のような幻想的な曲が醸し出す雰囲気に浸ることもできます。

Cuckooland

ほわーんとしたシンセをバックに管楽器とロバートの声が織り交ざる曲からスタート。管楽器が目立つジャズ風が多めです。

地味な曲ばかりで、特に惹きこまれることなく時間が過ぎていく感じ。

Comicopera

思いも寄らない日常のハプニングをテーマにした、3部構成のミニオペラ風アルバム。

ロバートの声がやたら若々して、彼の魅力だったはかなさがなく違和感があります。

Act 1は管楽器主体の地味曲の連続。ゲストのブラジル人女性ボーカリスト、モニカ・ヴァスコンセロスを前面に出したJust as You Areは新鮮味はあります。

Act 2はアコギ弾き語り風曲、ジャズ風曲、ラテン風曲が織り交ざりバリエーションを感じます。

Act 3は静かに語りかける曲からスタート。ボーカル主体かと思ったら、ゲストミュージシャンがビブラフォンを鳴らすインスト曲に突入。ラストはラテン風味がある軽快なピアノをバックに歌って終了。

2014年12月に作曲活動をやめることを声明しました。







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