閃光のラッシュ(1974年) Rush ゲディー・リー(B, Vo)、アレックス・ライフソン(G)、ジョン・ラトジー(Dr)によって作成。 ハイトーンでゲディーがシャウトする、レッド・ツェッペリン風のハード・ロック。ゲディーの細かいベースさばきは発揮されています。 アルバムのリリース直後、ジョンが糖尿病での体調不良とツアーが嫌になったとのことで脱退。 |
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夜間飛行(1975年) Fly By Night オーディションで選ばれたニール・パートがドラムに就任したことで黄金トリオが結成。 ハードロックにプログレさが加わりました。組曲風の8分曲By-Tor & The Snow Dogは、さまざまに展開して聴き応えあります。 アルバム後半にはアコギを使った曲があり、曲にバリエーションが増えて、面白味があります。 |
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鋼の抱擁(1975年) Caress Of Steel 前半はハードロック曲を演奏。 The Necromancerは12分の3部構成の組曲で、いずれのパートも冒頭に朗読が入ります。ブルース的なバラード→ゴリゴリハード→アコギ片手のフォーク調という曲調の変化が楽しめます。 ラストは20分の6部構成の組曲。アコギの弾き語り風に静かに始まります。その後、ハードになったり、メロウになったりと変化。6つのパートの曲間がしっかりとあり、組曲というより「短い曲の寄せ集め」といった感じ。あまり盛り上がることなく終わってしまいます。 |
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西暦2112年(1976年) 2112 タイトル曲の2112は、宗教指導者に監視された世界で「遺物」となっていたギターを発見した青年を描いた20分超の組曲。ハードでドラマチックな世界が描かれています。プログレ・ハードロックの代表格的な作品。 その他の曲はフツーのハードロックでさほど面白みはありません。 DVDaudioやBlu-rayにはハイレゾ音源を収録。紙芝居的なイラストも収録されていてアルバムの世界がよく理解できます(くわしくはこちら)。 2016年には発売40周年記念として、他のアーティストがカバーした曲やレア音源を収録したCDと1976年のライヴ映像などを収録したDVDとのセット、さらに3LPもつけた豪華ボックスセットが発売。 |
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世界を翔けるロック(1976年) All The World's A Stage 1976年6月のトロント公演を収録。 「閃光のラッシュ」から「西暦2112年」までのアルバムから厳選した曲を熱気ムンムンで演奏しています。 2112を完全演奏。 ほとんどの曲が、ゲディーがシャウトするハードロックでプログレさはないです。 |
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フェアウェル・トゥ・キングス(1977年) A Farewell To Kings ゲディーが歌い方を変えてシャウト一辺倒ではなくなったことで、聴きやすくなりました。 Xanaduは起伏に富んだ展開の激しい10分超曲でカッコよいです。ラストには10分超曲のCygnus X-1 Book Iを収録し、次回作に収録されたBook IIに続いていきます。ポップ調のCloser to the Heartはライヴでの定番曲です。 2017年に発売40周年記念として、1978年2月20日のハマースミスオデオン公演のフルセット・ライヴ音源を収録した2CDとのセット、ハイレゾ音源を収録したBlu-ray audioやLPをセットした超豪華ボックスセットが発売。 |
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神々の戦い(1978年) Hemispheres ラッシュ的プログレ・ハードの最高傑作。 Cygnus X-1 Book IIはアレックスのヘビーなギターソロをフィーチャーした18分組曲。とにかくカッコよい。いつ聴いても惚れ惚れとします。 ラストのLa Villa Strangiatoでもアレックスがギターを弾きまくり。激しく展開が変わり、これまたカッコよいです。他の曲も魅力的で、過去のアルバムにあった「この曲、なくてもいいよな」的なものはありません。 2018年に発売40周年記念盤として1979年6月4日のオランダでの音楽フェスティバルでのライヴ音源を収録したボーナスCDとの2CDセットやハイレゾ音源を収録したBlu-ray audioやLPをセットした豪華ボックスセットが発売。 |
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パーマネント・ウェイヴス(1980年) Permanent Waves 過去3作品で大作づくりに苦労したことで「もう、大作はこりごり」ということになり、小作品集となったアルバム。前作のプログレハードを期待して聴くと、1曲目のThe Spirit of Radioのポップさに拍子抜けします。 スリリングなJacob's Ladderや組曲風のNatural Scienceはプログレさを残していますが、全体的に薄味で、「もうちょっとパンチ効かせてよ!」と不満が残ります。 2020年に40周年記念として、1980年6月のロンドン、マンチェスター公演のライヴ音源を収録したCDとのセットやLPもセットしたボックスが発売。このライヴCDの選曲がとても充実しています(詳しくはこちら)。 カバーアートが何を表現しているのかについてはこちらをご覧ください。 |
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ムーヴィング・ピクチャーズ(1981年) Moving Pictures オープニングのTom Sawyerはキーボード主体のプログレ風作品。ヘビーなギターと相まってスリリングな世界を描いています。 インスト作品のYYZは3人の超人プレイが堪能できる小作品。とてもカッコよいです。変拍子を交えたポップ調のThe Camera Eyeまではよいですが、それ以降の2曲は尻すぼみになって、最後はハードさのかけらもないピョコピョコサウンドで終わってしまうのが残念。 DVD audio/Blu-rayにはハイレゾ2ch、5.1chを収録。 2022年に40周年記念として、1981年3月25日の地元トロント公演を収録した2CD、ドルビーアトモス音源やハイレゾ音源を収録したBlu-ray audioやLPをセットした豪華ボックスセットが発売。内容がすごく充実しています(詳しくはこちら)。 |
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ラッシュ・ライヴ〜神話大全(1981年) Exit...Stage Left 1980年6月10〜11日のグラスゴー公演と1981年3月27日のモントリオール公演からの抜粋を収録。プログレハードロック時代のラッシュの集大成的なライヴアルバム。 スタジオアルバムでのテクニカルなサウンドをライヴでも再現できることに腰を抜かしてしまいます。 2112が収録されていないのが残念。 |
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ラッシュ・ライヴ〜神話大全 Exit Stage Left 1981年3月27日のモントリオール公演からの抜粋を収録。 プログレハード時代の名曲の演奏を見ることができるという価値があるものの、古い録画だけに映像にシャープさがなく、カメラワークが彼らのテクニックをとらえきれていません。 YYZは断片的で、メンバーの曲解説がかぶせられるという意味不明の編集になっています。 彼らの演奏の凄さを知るためには、他のDVD/Blu-rayを先に見る方がよいです。 |
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シグナルズ(1982年) Signals サウンドの一大転換となった作品。これまで隠し味程度だったシンセサイザーの音が前面に出され、ギターもヘビーな音から爽やか系になり、プログレハードさが消え去りました。 いろいろなタイプの曲が演奏されていて面白みがありますが、前作までのハードさを期待して聴くとズッコケます。 さほど印象に残る曲がなく、聴いた記憶すら曖昧になるほど・・・。「他のラッシュのアルバムを買いそろえて、資金に余裕があれば買ってもいいかな」という程度。 2023年に40周年記念として、リマスターCD、LP、ドルビーアトモス音源やハイレゾ音源を収録したBlu-ray audio、7インチアナログ4枚をセットした豪華ボックスセットが発売。 |
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グレイス・アンダー・プレッシャー(1984年) Grace Under Pressure プログレハードさはないものの、シンセの入れ方がカッコいいDistant Early WarningやRed Sector Aは聴き応えあります。 ギターが薄味な分、ゲディーの高速ベースがよく聞こえ、テクニックに感心させられます。 おいしい曲はライヴ盤「新約・神話大全」に収録されているので、そっちを持っていればあえてこのアルバムを買わなくてもよいです。 |
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Grace Under Pressure Tour 1984年9月21日のカナダ、トロント公演を収録。 3アルバムに分けてリリースされたFear組曲をPart 1〜3の順に演奏しているのがウリ(The Enemy Within、The Weapon、Witch Hunt)。 シンセ時代の曲がほとんど。ラッシュなら何でも聴きたいという達人向け。 DVDも見ましたが、特に印象に残っていないです。 |
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パワー・ウィンドウズ(1985年) Power Windows 前作に続きハードさはなく、シンセが目立つ作品。 収録曲のライヴ版を先に聴いて「けっこう魅力的な曲だ」と思い、期待してこのアルバムを聴いたものの迫力不足に拍子抜け。 おいしい曲はライヴ盤「新約・神話大全」に収録されているので、そっちを持っていればあえてこのアルバムを買わなくてもよいです。 |
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ホールド・ユア・ファイア(1987年) Hold Your Fire これまたシンセメインの作品。 1曲目のForce Tenはスピード感のある爽快な曲、続くTime Stand Stillはパワーのあるミディアムテンポの曲でアルバムの出だしはOKですが、その後、尻すぼみに曲の魅力が落ちていきます。聴いていくうちに集中力が薄れていき、聴き終えた時に「ようやく終わったか・・・」と思うこともしばしば。 おいしい曲はライヴ盤「新約・神話大全」に収録されているので、そっちを持っていればあえてこのアルバムを買わなくてもよいです。 |
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ラッシュ・ライヴ〜新約・神話大全(1988年) A Show Of Hands 1986年と1988年の公演からの抜粋。シンセ時代のアルバムからおいしい曲を集めているだけあって聴き応え満点。 ライヴの緊張感もあるせいか、曲の魅力がスタジオ版よりはるかにアップ。特にゲディーのベースラインは必聴! これを弾きながら歌うなんて、まさに超人技。 ライヴ映像を収録したDVDが売られているので、それも必見。 |
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ラッシュ・ライヴ〜新約・神話大全 A Show Of Hands 1988年4月21〜24日のイギリス、バーミンガム公演を収録。 「手のショー」というタイトルとおり、メンバーの超絶テクニックがよくわかるカメラワークになっています。序盤は「パワー・ウンドウズ」や「ホールド・ユア・ファイア」からの曲が演奏され、ゲディーの高速の指さばきに驚愕します。 後半はプログレハード時代の曲を連発。YYZ、2112、La Villaではニールの千手観音ドラムプレイに圧倒されます。 |
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リプレイ X3 Replay X3 前述の「神話大全」、「Grace Under Pressure Tour」、「新約・神話大全」のDVD、「Grace Under Presure Tour」のCDをセットしたもの。 |
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プレスト(1989年) Presto ヘビーなギターが入る1曲目のイントロを聴いただけでサウンドの転換期を迎えたことがわかります。シンセ時代では「添え物」程度だったギターの存在感がアップしました。 プログレハードさはないものの、一曲一曲のメロディーがよく耳なじみます。 プログレ風ポップ&ロックとして楽しめます。 |
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マウンテン・ビュー 1990 Mountain View, California 1990 1990年6月27日のアメリカ、マウンテンヴュー公演を収録。ヨーロッパでのテレビ放送用に収録された音源を使用。 |
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ロール・ザ・ボーンズ(1991年) Roll The Bones 前作の流れを引き継いで、耳になじむ良質のプログレ風ポップ&ロックが楽しめます。 一曲目のDreamlineのスピード感、軽快感はいつ聴いてもゴキゲンになれます。 |
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カウンターパーツ(1993年) Counterparts ヘビーでダークなギターが戻ってきました。 曲が短いのでプログレさはありませんが、このサウンドを待っていたラッシュ・ファンには歓迎されました。 一方、前作にあったメロディーラインの親しみやすさは薄れました。 |
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ライヴ・イン・ミシガン 1994 Live In Michigan 1994 1994年3月22日のアメリカ、オーバーンヒルズ公演を収録。ラジオ放送用に収録された音源を使用。 |
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テスト・フォー・エコー(1996年) Test For Echo ギターのゴリゴリとしたヘビー感がさらにアップ。ハードロックなラッシュの完全復活です。 メロディーの親しみやすさは皆無。とにかくパワーに圧倒されます。ギターフリークにはたまらない作品でしょう。 |
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ライヴ・イン・ヒューストン 1996 Live In Houston 1996 1996年12月5日のアメリカ、ヒューストン公演を収録。ラジオ放送用に収録された音源を使用。 |
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ディファレント・ステージズ・ライヴ Different Stages 1994年と1997年のツアーからの曲を収録した2枚のCDと、1978年2月20日のハマースミス・オデオン公演(抜粋)を収録したCDの3枚セット。 最初の2CDにはプレスト以降のアルバムからノリが良い曲が選ばれ、さらにプログレハード時代の名曲も収録。2112が完全再現されているのは大注目です。ポップな曲、ヘビーな曲がちょうどよいバランスで収録されていて、とても楽しめます。 ちなみに1978年2月20日公演のフルセットは、「フェアウェル」の40周年記念盤にセットされています。 |
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ヴェイパー・トレイルズ(2002年) Vapor Trails キーボードやシンセを全く使っていないゴリゴリのハードな作品。 音にメリハリがなく一辺倒、メロディーがイマイチで耳になじみません。「ラッシュのファンならえり好みせず聴くべし」という気持ちで再生しますが、毎回「滝に打たれる修行僧」の気持ちになり、途中で挫折してしまいます。 ラッシュ自身もアルバムの出来に不満を持っていて、2013年にリミックス盤が発売されました。 |
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ヴェイパー・トレイルズ・リミックス Vapor Trails Remixed 「ヴェイパート・レイルズ」のオリジナルミックスにずっと不満を抱いていたバンドが、2013年になって思い切ってリミックスに取り組んだもの(くわしくはこちら。 音が柔らかくなり、メリハリがはっきりとついて、とても聴きやすく生まれ変わりました。買うなら断然こちらです。 |
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ラッシュ・イン・リオ Rush in Rio 2002年11月のリオデジャネイロ公演を完全収録した3枚組CD。 ラッシュがブラジルに行くのは初めてで、「ほんとにファンがいるのか?」と疑問を抱きながら行ったら、熱狂ぶりにビックリしたそうです。 新旧の名作を織り交ぜて演奏しています。オープニングのTom SawyerでテンションMax。4万人のブラジル人の熱気に煽られ、バンドの演奏も熱気を帯びています。 インスト作品のYYZで観客が合唱するなんて、前代未聞。全世界のラッシュ・ファンがこれを見て愕然としました。 是非ともDVD/Blu-rayで見てください。たまげます。 Blu-rayはSDなので、画質はDVD並みです。 |
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フィードバック(2004年) Feedback デビュー30周年記念の企画として作られたもの。彼らが影響を受けた1960年代のアーティスト(ザ・フー、ヤードバーズなど)の曲が収録されています。 1曲目のSummertime Bluesはスピード感のあるハードなアレンジでラッシュらしさに満ちています。後の曲はさほど魅力ありません。 ラッシュ道を追究する方向け。 |
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R30 30TH アニヴァーサリー・ワールド・ツアー R30 2004年9月24日のフランクフルト公演を収録。 DVDでは、リオとの重複を避けるという意図でBy-Tor、La Villa、YYZ、The Treesといった名曲がカットされていましたが、Blu-ray化された際にはこれらのカット曲が収録され、このコンサートがフル収録されました。 オープニングは初期の名曲のメドレー。おいしいフレーズの連続パンチでこれを聴くだけでノックアウトされます その後のセトリはライヴ定番の名曲集。30年間の彼らの足跡をたんまりと味わうことができます。 メンバーを真上から撮影した映像が多用されていて、ニールの360度ドラムプレイやゲディーのキーボード足さばきがよくわかります。 |
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スネークス・アンド・アローズ(2007年) Snakes & Arrows ゴリゴリなハードロック作品。メロディーラインがイマイチで面白みに欠け、修行僧の気分になります。 ゲディーの声が妙にねちっこくなり、気持ち悪ささえ感じてきて、アルバムを1時間も聴くのがしんどくなるほど。 彼の声に違和感がない人は、至福のハードロック世界を楽しめるかも。 DVDでは、ハイレゾ2chとドルビーサラウンド(5.1ch)を収録。 |
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スネークス・アンド・アローズ・ライブ Snakes & Arrows Live 2007年10月16〜17日のロッテルダム公演を収録。 ゴリゴリ・ハードなアルバム「スネーク・アンド・アローズ」の収録曲のイメージに合わせたのか、これまでライヴではあまり演奏されなかったEntre NousやCircumstancesといった昔のアルバムでのハード曲が演奏されています。 ラッシュのハードさが強調された構成になっていて圧倒されます。 |
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タイム・マシーン 2011:ライヴ・イン・クリーヴランド Time Machine 2011: Live in Cleveland 2011年4月のクリーヴランド公演を収録。「ムーヴィング・ピクチャーズ」の発売30周年を記念して、このアルバムが完全再現されています。 選曲、曲順、演奏、すべてが完璧で文句なし。 |
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クロックワーク・エンジェルズ(2012年) Clockwork Angels 奇妙な登場人物が現れる世界を旅する若者の姿を描いた、ラッシュ史上発のコンセプトアルバム。この物語はニールと彼の友人のSF作家によって小説化されました。 「カウンターパート」あたりの親しみやすいメロディーラインが戻り、前作より気軽に聴くことができます。 とは言え、ゲディーのボーカルのねちっこさは相変わらず。「もっとあっさりと歌ってくれれば名作度が上がったのにな」とちょっと残念に思います。 |
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クロックワーク・エンジェルズ・ツアー Clockwork Angels Tour 2012年11月のアメリカ南部での公演を収録。 前半は私にとって暗黒時代の「シグナルス」〜「パワー・ウインドウズ」の曲が連続して聴くのがしんどいです。 後半は「クロックワーク」の曲をオーケストラをバックに演奏していますが、バンドの演奏に花を添えるどころか邪魔臭さを感じます。Dream LineやYYZにもオーケストラが入っていて蛇足以外の何物でもないです。 |
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R40 R40 「ラッシュ・イン・リオ」〜「クロックワーク・エンジェルズ・ツアー 2011」をボックスセット化したもの。DVDは10枚セット、Blu-rayは6枚セット。別々に買うよりオトク。 「ラッシュ・イン・リオ」は初Blu-ray化ですが、SD画質なので、DVDとさほど違いはないです。 |
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R40・ライヴ〜閃光の去来〜 R40 Live 2015年6月の地元トロント公演を収録。 現在から過去に曲を遡りながら演奏していくという面白い構成になっています。演奏はパワフルで完璧。しかし、ゲディーの声の劣化が気になります。 残念なことに、2020年1月7日にニールが脳腫瘍で死去。 |
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