Flying Colors

Flying Colors

2008年にプロデューサーのビル・エヴァンスが「バカテクさと、わかりやすいメインストリームさが合体した曲」を演奏する新バンドの結成を目指してメンバーを探し、マイク・ポートノイ(Dr)、ニール・モーズ(Key)、スティーヴ・モーズ(G)、デイヴ・ラルー(B)を集結。ボーカリストは100名以上を検討した結果、マイキーの推薦でケイシー・マクファーソンが加入しました。

上記の方針なだけにプログレさが薄い曲の構成になっています。マイキーとニールが在籍しているからと言って、トランスアトランティックの壮絶プログレサウンドを期待すると透かしを食らいます。

プログレ的盛り上りがないままアルバムが進み欲求不満がたまってきたところで、ラストの12分曲で複雑な展開になり、ようやく溜飲が下がり無事終了。


(DVD)


(Blu-ray)

Live in Europe

2012年9月20日のオランダ、ティルブルフ公演を収録。

ファーストアルバム全曲を演奏。ベースが大きめにミックスされていてパワフルさが若干アップしたものの、オリジナル通りの演奏でライヴならではの面白味に欠けます。

各メンバーが在籍していたバンドの曲(ドリーム・シアター、スポックス・ビアード、ディキシー・ドレッグス、エンドクリン)も演奏しています。ディキシーのOdysseyはスリリングなインスト曲でプログレ度満点でいいアクセントになっています。ドリシア曲はダークで不思議なイメージがあるRepentance。マイキーが歌っています。続けてニールがマイク片手に前に出てきてスポックスのJuneをケイシーのハモリを受けながら歌います。途中からマイキーも前に出てきて3重ハモリに展開。

Second Nature (2014年)

ライヴをこなしたことでメンバーの間に化学反応が起きたようで、曲の魅力が一気にアップ。

オープニングの12分曲は、トランスアトランティックっぽいフレーズも演奏される展開が面白い曲で、ケイシーとニールのボーカルの使い分けもナイス。「このサウンドを待っていました」と思わせます。続く曲ではサビでウォオオオオオオオの合唱が可能なライヴ映えしそうなノリノリ曲。

プログレ的味付けが随所に見られる短めのロック曲を挟んでラストは12分の組曲。静か目に展開し、じっくりと演奏を聴かせるという感じで進み、ラストはゴスペルの女性コーラスチームをバックにケイシーが歌い上げて終了。


(2CD+DVD)


(2CD+Blu-ray)

Second Flight: Live at The Z7

2014年10月12日のスイス、プラッテルン公演を収録。

プログレ大作Open Up Your Eyesで幕開けし一気にテンションアップします。その後、ファーストとセカンドから厳選されたオイシイ曲が連発で演奏されていきます。マイキーの手数が多いドラムプレイ、それに絡むデイヴのよく動くベースラインがサウンドをパワフルにしています。

ラストはMask Machineはウォオオオオオオオとノリノリで合唱した後、プログレ曲Infinite Fireでドカンと終了。聴き終えた後、満足感に浸れます。


(2CD)

Third Degree (2019年)

10分超えの曲を中盤とラストに入れて、あとは5〜7分曲を収録。

5〜7分曲は「普通のロックか」と思わせておいて途中で曲調がコロッと変わるところがあり、意外性のある味付けになっています。特にMoreは7分の間にちらし寿司的展開を凝縮しプログレ的満足度が高いです。

ラスト1つ前の曲はジェリーフィッシュ的な曲調&コーラスのポップ曲で「こんな曲もやるんだ」という驚きあり。

ラストはメロウに始まり、じわじわっと音数が増えて盛り上がっていく11分曲。ドラマチックさを感じます。


(2CD+DVD)


(Blu-ray)


(2CD+2DVD+Blu-ray)

Third Stage: Live in London

2019年12月14日のロンドン公演を収録。

ファーストアルバムの1曲目のBlue Oceanで幕開け。過去3作から選ばれた名曲が次々に演奏されていて、ベスト盤的な雰囲気あり。

マイキー、ニールを始め、メンバーがとても楽しんで、息の合った演奏を繰り広げています。

終盤には長尺のプログレ的な曲を入れています。

ラストはMask Machineでウォオオオオオオオとノリノリで合唱して、盛り上がって終了。



Sons of Apollo

Psychotic Symphony

元ドリーム・シアターのデレク・シェリニアン(Key)、マイク・ポートノイ(Dr)、ビリー・シーン(B)らによって結成されていたバンドを発展させ、ジェフ・スコット・ソート(Vo)、ロン・"バンブルフット"・サール(G)を迎え入れて起動。

1曲入魂のヘヴィーなサウンドが展開されています。本領を発揮したマイキーのタコ足ドラム、デレクが奏でるディストーションの効いたシンセ・リード、ビリーの高速指さばき、ロンのハードなギターで構成される濃厚重厚な演奏をバックに、それに負けないくらいに気合のこもったド太いジェフのボーカルがからみます。

ドリシアみたいなプログレ的展開はなく、純ハードロックに近いです。最初聴いた時はピンと来ませんでしたが、3回目くらいからプログレハード的な隠し味を感じるようになりグイグイとハートに響くようになりました。


(3CD)


(3CD+DVD)


(3CD+DVD)


(Blu-ray)


(3CD+DVD+Blu-ray)

Live With The Plovdiv Psychotic Symphony

2017年9月22日のブルガリア、プロブディフにある古代ローマ時代に作られた劇場での公演を収録。

ロンは1本がフレットレスのダブルネックのギター、ビリーはチューニングを変えたダブルネックベースを演奏。計4本のネックを見るだけで「タダ者ではない」感が伝わります。4人の超絶プレイには惚れ惚れします。ジェフはフロントマンぶりを発揮し、観客をあおってガンガンと盛り上げています。

前半はバンドのみで、ドリシアのJust Let Me Breathe(この演奏はサイコーにしびれる)やクイーンのThe Prophet's Song/Save Meを交えながらファーストアルバムの曲を演奏。後半はプロヴディフ・フィルハーモニー管弦楽団と合唱団を加えて、ツェッペリン、レインボー、ピンク・フロイドなどメンバーが影響を受けたバンドの曲をメインに演奏しています。

さまざまな角度から映像を収録していて見ごたえありますが、カットの切り替えが早すぎて目まぐるしさを感じてしまうのはちょっと難点。

MMXX

引き続き濃厚重圧なハードロックサウンドが展開されています。1曲目からギターとキーボードのソロバトルが勃発して、カッコよさを感じます。

前作より、曲の構成やソロパートにハードプログレ的な味付けがあるように感じます。中盤に入る怪しげな曲は他といいコントラストになっていてゾクっとします。ラストは複雑な展開をする15分曲でドラマチックに終了。



The Sea Within

The Sea Within

フラワー・キングス、トランスアトランティックともに休業中のロイネ・ストルトにレコード会社インサイド・アウトの創設者が「新バンドを結成してアルバム出したらどうよ?」と声掛けしたことから話がスタート。フラキンの同僚のヨナス・レインゴールド(B)、元フラキンでトランスアトランティックのサポートもやっていたダニエル・ギルデンロウ(Vo, G)、ロイネとジョン・アンダーソンとの共作アルバムでキーボードを弾いたトム・ブリズリン、フラキンのツアードラマー候補だったが多忙のために都合がつかないままだったマルコ・ミンネマンに声掛けてして結成(詳しくはこちら)。

オープニングはダークでスリリングな曲。ゲストのロブ・タウンゼンドのサックスが効いています。ロイネの曲がメインですが、トム作曲のバラード曲、マルコ作曲のノリノリロック曲(ジャズ風ピアノソロもあり)も入っていて「バンドで仲良くアルバム作りました」感があります。

14分の大作ではジョン・アンダーソンがゲスト参加していますが、耳を澄ませて集中して聴かないと存在を感じ取れません。

サウンドはうまいことまとまっていますが、「まあ、このメンツならこうなるわな」という予想の範囲内にとどまっていて、「このバンドならではの驚愕サウンド」とまでにはなっていないのは残念。



Liquid Tension Experiment

Liquid Tension Experiment

レコード会社マグナ・カルタから「なんでも好きなアルバムを作ってよい」と言われたドリーム・シアターのマイク・ポートノイが、ジョーダン・ルーデス(Key)、トニー・レヴィン(B)、ジョン・ペトルーシ(G)に声をかけて結成。もともとジョンはマイキーの第1候補ではなかったのですが、他の候補の都合がつかずジョンに頼んだとのこと。

オープニングのスピーディー&パワフルな曲で極上のプログレ・ハード世界に誘われます。ゴリゴリッと押すだけでなく緩急がついた構成が心地よし。

プログレ・ハードで押しまくるだけでなく、爽快なフュージョン、ドラムとスティックによるおちゃらけ風、ギターソロが冴えるバラードがあったりとアルバム全体にバラエティがあって楽しめます。

ラストは約28分のジャムセッションで、「音楽的に気合の入っていない人、辛抱強くない人、極端に勝手気ままな批評家には向かない」という注意書きがついています。まあ、LTEを聴こうと思う人はプログレ達人ばかりでしょうから大丈夫!

Liquid Tension Experiment 2

オープニングのスリリングな展開をするプログレ・ハード曲でグイグイっと心地よく責められ、「今回もいいぞ」と期待感が一気に高まります。

短い曲が多かった前作に比べて、約10分〜10分超えの長尺曲が連発して、プログレさがアップしています。

ジョンが妻の出産に立ち会うためにスタジオに不在の間に残った3人でインプロビゼーション大会をやって、後でジョンがギターを入れた曲では幻惑さを感じる展開があり、アルバムのいいアクセントになっています。

ラストはジョーダンのピアノとジョンのアコギがしんみりと絡み合い、余韻たっぷりに終了。

ツアー終了後にジョーダンがドリーム・シアターに加入したことで、「4人中3人が同じバンドになるなら存在意義ナシ」ということでLTEは終了。

Spontaneous Combustion

LTE 2のレコーディングの途中でジョンが一時離脱した際に残った3人で行ったジャムセッション曲を、リキッド・トリオ・エクスペリメント名義でリリースしたもの。

マイキーのドラムとトニーのスティックを楽しむアルバムです。プログレ・ハードを期待して聴くと超ガッカリします。


(DVD)

Live in NYC

結成10周年を記念して突如再起動。2008年6月23日のニューヨーク公演を収録。

マイキーのタコ足千手観音ドラム、トニーのスティックさばき、ジョンとジョーダンの速弾きにグイグイと惹きこまれます。

映像がついている分、CDで聴くよりパワフルで、演奏の凄さがより理解できます。

注目点はトニーのスティック・プレイ。他のバンドでの映像作品よりもしっかりと長めに映っており、どんな風にどのような音を鳴らしているかよくわかります。

When The Keyboard Breaks: Live In Chicago

2008年6月25日のシカゴ公演の最中にジョーダンのキーボードが突如故障し、彼が日本のローランドと修理の相談をしている間、残った3人でジャムセッションを展開。

結局、キーボードが治らなかったので、ジャムセッションの途中でジョーダンが再登場してジョンのギターを弾き、ジョンはベースを弾き、トニーはスティックを弾く展開に。続く曲では、アンスラックスのドラマーに叩かせてマイキーがベースを弾くという変則技も登場。

LTEの曲を演奏できなかったので、リキッド・トリオ・エクスペリメント2名義で発売しました。


(DVD)

Live in LA

2008年6月27日のロサンゼル公演を収録。


(2CD)


(2CD)


(2CD+Blu-ray)


(3LP+2CD+Blu-ray)

Liquid Tension Experiment 3

コロナでライヴ活動ができない中、「またLTEでアルバムを作ってみよか」という話になり、4人が再集結。

オープニングから勢い&ハイテク全開で圧倒されます。その他の曲も彼らに期待するサウンドが満載です。

2008年のコンサートで演奏された、ガーシュウィンのカバー曲Rhapsody in Blueも収録。

ボーナスCDには1時間近いインプロビゼーション大会を収録。これまた聴きやすく爽快です。

映像付きの5.1chサラウンド音源付きのBlu-rayとのセットもあります。







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