スーパートランプ・ファースト (1970年) Supertramp リック・デイヴィス(key)、ロジャー・ホジソン(B, vo)、リチャード・パーマー(G)らでレコーディング。 リックのオルガンの音を主体にしたサイケデリック風な曲が収録されています。最初聴いた時は、イエスのファーストアルバムを連想しました。 不思議と魅力を感じますが、初心者が聴くアルバムではないです。 アルバムのリリース後、リチャードとベーシストが脱退。リチャードは後に旧友のジョン・ウェットンの誘いでキング・クリムゾンの歌詞担当になりました。 |
|
消えない封印 (1971年) Indelibly Stamped ロジャーがギターに転向し、リックもボーカルを取るようになりました。新しいベーシスト、ドラマー、管楽器担当を迎えて制作。 自分たちの進むべき方向性を模索しているような感じで、多岐にわたる曲が収録されています。サイモン&ガーファンクルを連想するようなフォーク曲もあります。 よく言えば「バラエティーに富んでいる」ですが、どっちかと言うと散漫な印象があり、聴いていてイライラしてくることがあります。 全く売れず、ロジャーとリック以外のメンバーが次々に離脱していきました。 |
|
クライム・オブ・センチュリー (1974年) Crime Of The Century ダギー・トムソン (B)、ボブ・シーベンバーグ (Dr)、ジョン・ヘリウェル (Sax)が加入し、いよいよ黄金時代の幕開け。 リックとロジャーがリードボーカルの曲を交互に収録。リックが歌う曲は複雑な展開をするプログレ風味がありますが、ロジャーが歌う曲は彼の声質のせいかさほどインパクトがないです。 ラストのCrime of the Centuryは後半のストリングスとサックスのからみがここちよいシンフォニック作品です。 ガツンとくる曲がなく、もうちょっと全体的に元気さがあったらよかったのにと思います。 2CDセットには、1975年のハマースミスオデオンでのライヴ音源を収録。 Blu-ray audioにはハイレゾ2chのみ収録。 |
|
危機への招待 (1975年) Crisis? What's Crisis? クライム・オブ・センチュリーが大ヒットして自信が出たのか、曲に元気を感じます。 レコード会社からは「はよ、次を出せ」とせっつかれたものの、ツアーで忙しくて曲を書く時間がなく、前作までのおこぼれ曲を主体にレコーディングしたそうです。そんな事情を感じさせないいい曲が収録されています。ポップな曲がほとんどでプログレ風味の曲はほとんどなし。 今回はロジャーが歌う曲の方が魅力的です。 |
|
蒼い序曲 (1977年) Even In The Quietest Moments... アコギの軽快なサウンドで幕開けして意外性があります。これまでスーパートランプを代表するサウンドだったウーリッツァー・エレピが使われていません。そのためか人間っぽさを強く感じます。 前作ではあまり感じなかったプログレ風味が加わった曲がけっこうあり、「これっ、いい感じ」と思わせることしばしば。Banajiは特によいです。 ラストはSEをふんだんに使った、ロジャーが歌い上げるシンフォニックでスリリングな10分曲。いったん終わるかと見せかせてスリリングに再開するところは絶妙。 |
|
ブレックファスト・イン・アメリカ (1979年) Breakfast in America タイトル曲があまりにもインパクトがあり過ぎて、この曲でスーパートランプに出会った人は、彼らをポップなバンドだと思ったはず(私もそう)。 でも、アルバムの中にはプログレ風味の曲が散りばめられ、全体を通すと単なるポップアルバムにはなっていないです。 ラストの曲のスリリングさには惹かれます。 2CDセットには1979年に行われたライヴの音源が収録されています。 Blu-ray audioにはハイレゾ2chのみ収録。 |
|
ライヴ・イン・パリ (1980年) Paris 1979年11月のパリ公演を収録したもの。 アメリカで旧作の認知度を高めようという目論みがあったために、コンサートでの演奏曲から「ブレックファスト」からは3曲のみ選び、「クライム」ほぼ全曲、「危機」と「蒼い」から数曲を収録。 選曲、演奏ともにいいものの、曲順をオリジナルのセットリストから変更してロジャーとニックのボーカル曲を交互に収録したことで全体の流れが今一つで、散漫な印象があります。 カットされた曲が「ブレックファスト」の2CDのボーナスディスクに収録されているので、それと一緒に当日の曲順に並び替えて聴いたら緊張感が増して傑作度がアップしました。ファンの方にはこの作戦をお勧めします。 |
|
フェイマス・ラスト・ワーズ (1982年) ...Famous Last Words... ポップなアルバムを作りたいロジャー、10分越えのプログレハード曲を中心としたいリック。二人の方向性の違いが明確となり、妥協の産物として生まれた作品だそうです(プログレ曲は次回作に持越し)。 悪くはないが、よくもないという感じです。 このアルバムを最後にロジャーは脱退しました。 |
|
フロンティアへの旅立ち (1985年) Brother Where You Bound ポップ路線を主張していたロジャーが脱退したことで、プログレ度を復活させた作品。 1曲目はポップに始まるものの途中からジャズロック風味が出てきます。 圧巻は16分超えの組曲風に短いパーツを組み合わせて作った感じの曲。なんとピンク・フロイドのデイヴがゲスト参加でギターを弾いています。 「新しい一歩を踏み出すぜ!」という意気込みを感じます。メロディーの親しみやすさが減ってしまったのが残念。 |
|
フリー・アズ・ア・バード (1987年) Free As a Bird 前作でプログレ度を思う存分発揮したことに満足したのか、ポップさを強めた作品。 のっけから女性コーラスを入れた軽快なラテン風曲でびっくりします。 「自由にはじけてます!」的なポップな曲のオンパレードで、プログレさは皆無。 ポップアルバムとしての出来はよく、気楽に楽しめます。 |
このアルバム以降もリリースされていますが、聴く予定ないので省略します。
Copyright shig-sak