The Tangent

The Music That Died Alone (2003年)

イギリスのバンド"Parallel or 90 Degrees"のアンディ・ティルソンがザ・フラワー・キングスのメンバーをゲストに向かえて作成していた作品が、プロジェクト・バンドの作品としてリリースされたもの。

ギター&ボーカルはロイネ・ストルト、ドラムはゾルタン・チョーズ、ベースはヨナス・レインゴールドがやっていますが、サウンドはフラキンとは全く異なります。

キーボードを主体にした、クールでフュージョンぽいプログレサウンドが展開されています。

他のプログレバンドとは一風変わったクールミントガムのような爽快な感じがします。

The World That We Drive Through (2004年)

前作のクールなフュージョンぽさは影を薄め、若干ヘビーになりました。

70年代イエス、ELPぽいキーボードに、時折、ジェスロ・タル的なフルートが混じり、正統派プログレ・サウンドとも言えます。めくるめく音の展開は、往年プログレ・ファンも満足いくでしょう。

Pyramids & Stars

2004年11月3日のドイツ公演を収録。

アイコンの都合上、「ハイレゾ」と書いていますが、詳細不明。

A Place in the Queue(2006年)

ロイネが参加しなかったことでギターの存在が薄れ、アンディのキーボードが前面に出てきました。

20分超の大作2曲に小作品5曲がサンドイッチされた構成です。1曲目は強と弱、静と動のコントラストが見事なシンフォニック大作。後半の静寂の中でフルートが響くところは絶品です。

小作品の中にはサックス炸裂のジャズロック曲、ポップ調の曲、スピーディーなロック曲などがありバラエティーに富んでいます。


(Special Ed)

Not As Good As the Book(2008年)

短めの曲を収録したCDと20分超の大作を2曲収録したCDのセット。ギターにジャコ・ジャクスジクを迎えています。

1曲目はこれまでのシンフォニックさとは印象が全く異なるハード目のロック曲。キーボードの鳴らし方がカッコよいです。

全体的にロック色が強く、ボーカルが占める割合が増えています。前作まで独特の雰囲気を出していたテオ・トラヴィスのフルートの影が薄く、哀愁さがさほど感じられません。

聴きやすくて私は気に入っていますが、本来のザ・タンジェントのサウンドとは違う印象があるので、前3作をまず聴いてください。

スペシャル・エディションには小説がついています。

Down and Out in Paris and London(2009年)

フラキン系列のメンバーが全員抜けて、全イギリス人でレコーディングされた作品。

3作目までにあったシンフォニックサウンドとジャズロックのフュージョンが戻ってきました。

「ああ、タンジェントのサウンドだな・・・」というくらいの印象で、特段惹かれる曲はないです。

A Place on The Shelf

未完成のまま放置されたアルバムThe Rite of Springに収録されるはずだった曲の半分を収録。

アイコンの都合上、「ハイレゾ」と書いていますが、詳細不明。

COMM(2011年)

20分曲と16分曲で短めの3曲をサンドイッチした構成になっています。

オープニング曲はいつもながらのシンフォニックサウンドが展開されます。「お決まりのパターンか…」と思っていたところで23歳の新加入ギタリストのルーク・マシンが弾く爽快なギターにハッとさせられ新鮮味を感じます。

3曲目は前作から加入したベーシストのジョナサン・バレットの作品で、これまでになかったしっとりとした「普通」のバラードで、キーボード攻撃での疲れを癒せます。

ラストは波の音をバックに管楽器が幻想的な世界を描くところからスタートします。じわじわっと音数が増してジャズロックに変化します。「ここからグッとシンフォニックに盛り上がるか!」という手前であっけなく終わり物足りなさがあります。

London or Paris, Berlin or Southend on Sea

2011年10月16日のイギリス、サウスエンド=オン=シー公演を収録。

アイコンの都合上、「ハイレゾ」と書いていますが、詳細不明。

Le Sacre Du Travail (2013年)

ベースにヨナスが復活し、ドラムにポーキュパイン・ツリーのギャヴィン・ハリソンを迎え、リズム隊の強化が図られた作品。

アルバムのタイトルは近代音楽の名作「春の祭典(Le Sacre du Printemps)」をもじったものだそうです。

曲も前作までの壮大なシンフォニック・プログレとは異なり、近代音楽風に断片的な曲がつなぎ合わさって構成されたという感じです。

難解さがあり、ザ・タンジェントを聴きこんだ方が「口直しに、一風変わったサウンドを聴くのもいいな」という気持ちで聴く分にはよいですが、初心者には向きません。

L'Etagere du Travail

Sacre Du Travailのセッションの際に未完成だった曲を仕上げたものと、過去のアルバムに収録された曲の別ミックスや別バージョンを収録。

アイコンの都合上、「ハイレゾ」と書いていますが、詳細不明。

A Spark in the Aether (2015年)

ドラムはモルガン・オーギュレンに交代。

ルークのギターの存在感が増し、ハードプログレ風の味付けになりました。ヨナスの歌うベースも心地よい。

スピード感、軽快感があり、とても聴きやすいです。

The Slow Rust of Forgotten Machinery (2017年)

世界各地の紛争での難民の窮状をテーマにした作品。

12分曲、22分曲、16分曲、17分曲という大作づくしで、5曲で79分。

フージョン調、パンク風、エレクトロニック・ダンス、ラップなどの要素を取り入れています。

ルークの爽快なギター、ヨナスのよく動くベースが緊張感を高め、たまに入る新加入の女性ボーカル、マリー・イヴ・ド・ゴルチエの声が隠し味風に華を添えています。ドラマーが不在なのでアンディが演奏しています。

Pyramids, Stars & Other Stories: The Tangent Live Recordings 2004-2017

CD1には2004年11月3日のドイツ公演を収録。CD2には2011年10月16日のイギリス、サウスエンド=オン=シー公演と2017年10月のアメリカでのHotel Cantafforditライヴ(ザ・タンジェントとカーマカニックの合同バンドのセッション)からの選抜音源を収録。

Proxy (2018年)

ドラマーとしてスティーヴ・ロバーツが加入。

1曲目は16分の長尺曲。ゆったりとしたリズムで淡々とスタートし、緩さに「どうにかならんか」と思った中盤でシフトアップしてスピードが上がりイイ感じになります。

続く曲たちは特に盛り上がることもなくダラダラと無駄に長い感じで、次第に集中力が途切れてきます。

4曲目にスピード感がある展開が激しい曲が登場して聴き応えを感じ、続く曲はハードさがあるギターの刻みが心地よいです。前半の退屈さをいかに我慢できるかが勝負。

Auto Reconnaissance

タンジェント史上初で、前作と同じメンバーでレコーディング。

オープニング曲はスピード感があり、ヨナスの速弾きベースが印象的なロック曲。つかみとしてOKです。

その後、クールなジャズ風曲、ポップ曲など、バラエティに富んだ曲が演奏されます。

クライマックスは28分ある大作。淡々と進んでいき、とにかく長い。「もう飽きた」と思ったところでハードなサウンドがアクセント的に入るのが救い。

ラストのボーナス曲は環境音楽的に始まる幻想的なインスト曲。これまでにない独特の雰囲気があります。

Songs From The Hard Shoulder (2022年)

17分、17分、21分という長尺の3連発と4分のポップ曲という構成。

オープニング曲は、ゆったりと始まるので「退屈なタイプの曲か?」と不安になりますが、早々にスピードアップしアンディがキーボードを弾きまくるのでほっとします。思ったよりも早く時間が過ぎていき、飽きがきません。

2曲目は、アンディ、テオ、ルークが交互に技を披露するえらくスピーディーなインスト曲。爽快感があります。

3曲目は、ダークで抒情的な曲。長さに飽きそうなタイミングでうまいことアクセントが入るので、最後まで聴きとおせます。







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