大統領選挙を間近にひかえたアメリカ合衆国大統領は、再選を狙い、国民に最もインパクトのある偉業を達成しようと試みる。

それはアメリカを汚染する麻薬のコロンビアからの流入をとめること。

国家安全保障問題担当補佐官カッターとCIAは結託し、陸軍歩兵部隊を秘密裏にコロンビアに送り込む。陸軍部隊が麻薬積み出し空港を監視する一方で、空軍戦闘機がアメリカ沿岸で密輸機撃墜を行う。

しかし、コロンビアを訪問中のFBI長官を麻薬カルテルが暗殺したことを契機に作戦はエスカレートし、麻薬精製工場の破壊やカルテルのボスたちの暗殺が行われる。

麻薬カルテルの実権を手中に収めることを狙う元キューバのスパイ、コルテスは、破壊工作の背後にアメリカがいることに気づき、秘密裏にカッターに接触、裏取引を行う。自分の保身のため、カッターは陸軍部隊をコロンビアの奥地に置き去りにしたまま、全ての作戦を一方的に終了させる。

CIAの上司たちの行動を不審に思ったライアンは、極秘ファイルを盗み見、作戦の全容を知る。彼はCIA工作員のクラーク、FBIのマリーとともに置き去りにされた兵士たちを救うためにコロンビアへ向かう。


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●メキシコ湾、カリブ海沿岸での舞台

A: エグリン空軍基地
第一特殊作戦航空団の基地がある。

B: ユカタン海峡
MH-53Jが、パナシュに着艦。マリーを残して、ライアンはパナマへ。

C: ハワード空軍基地(パナマ)

D: アンセルマ
ここの北側でシャベスらを救出。また、ここの郊外でエスコベドらを捕獲。

E:
MH-53Jがパナシュに再度着艦(推定)

F: グアンタナモ海軍基地(キューバ)
コロンビア潜入部隊の救出終了後にパナシュが寄港。

赤線:コロンビア潜入部隊の救出ルート(推定)





ショーボート-T コロンビアの麻薬積み出し空港を監視し、離陸を確認後、パナマにある通信基地に連絡。
ショーボート-U コカイン精製工場を襲撃し、農民がコカイン精製に関与することを怖がらせる。
イーグル・アイ 麻薬密輸機をF-15で迎撃。エグリン空軍基地に強制着陸させる(要求に応じない場合は撃墜)
レサプラシティー セルロース製爆弾で麻薬カルテルのボスたちの家を爆撃。内部抗争と見せかけ、麻薬カルテルの崩壊を図る。
ケイパー 麻薬カルテルが使用する携帯電話の内容を人工衛星を用いて傍受する。
ターポン 「エンパイア・ビルダー」のオーナー宅から押収したフロッピーから、麻薬カルテルがマネー・ロンダリングに使っている銀行口座を割り出し、差し押さえする。


アメリカ合衆国


A-4 スカイホーク

A-6E イントルーダー

C-141 スターリフター

CH-53 スーパー・スタリオン

CH-46 シー・ナイト

E-2C ホークアイ

F-4 ファントム

F-14 トムキャット

F-15 イーグル

KC-135

MC-130E コンバット・タロン

MH-53J ペイヴ・ロウ

UH-60A ブラックホーク  

レインジャー


「こうしたひとつの任務がきっかけで、CIAに拾われ、別の名前をあたえられて・・・」(上巻:68ページ)

ベトナム戦争のころ、クラークは、CIAが考えたベトナムのアメリカ兵士捕虜救出作戦に参加し、捕虜収容所の下検分をしました。その後、彼は麻薬密売人殺人容疑で警察に追われましたが、彼の能力を知ったグリーアは、彼が死んだことにして、彼をCIAに引き入れました。その際、彼は名前をクラークに変えました。(容赦なく

「苦痛に苛まれる妻と娘を見たことがある」(上巻:198ページ)

キャシーとサリーが車に乗っている時、テロリストの襲撃を受け、二人は重傷を負いました。特にサリーは瀕死の状態になりました。(愛国者のゲーム:下巻:38ページ)

「この幾年かで際立って成功した二つの作戦」(上巻:232ページ)

ソ連の最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーの亡命(レッド・オクトーバーを追え)とKGB議長のゲラシモフの亡命(クレムリンの枢機卿)のことです。いずれもライアンが作戦を発案し、実行しました。

「セント・トマス病院で初めて会った」(上巻:446ページ)

ジャックがロンドンでテロリストの弾丸を受け、セント・トマス病院に入院中に、当時イギリス大使館の法務官だったマリーが彼を見舞いました。(愛国者のゲーム:上巻:130ページ)

「局に入る前に彼がやっていたことをふくめて知っていた」(上巻:467ページ)

クラークがCIAに入る前、彼は麻薬中毒の少女の介抱をしていました。そのとき、看護婦だったサンディと出会いました。その少女が麻薬密売人に殺されたことで、彼は復讐の鬼と化し、密売人たちを殺し回りました。サンディはその彼の動機、行動を理解し、彼がCIAに入局後、結婚しました。(容赦なく

「マックスウェル提督が彼を・・・いまはわれわれのために働いているというわけです」(上巻:497ページ)

このリッターの話は「容赦なく」のあらすじそのものです。

「でも、人を殺したじゃありませんか」(下巻:186ページ)

ロンドンでのテロリストのイギリス皇太子襲撃事件の際、彼はテロリストのひとりを銃殺しました。(愛国者のゲーム:上巻:18ページ)

「トレントと言い争いをして、人びとの面前でホモ呼ばわりした」(下巻:188ページ)

これは、KGB議長ゲラシモフの亡命を図るため、ジャックとトレントがうった芝居です。このやりとりを見たKGBエージェントは、ジャックのCIAでの立場があやういと誤解し、ゲラシモフと彼の接触の手配をしました。(クレムリンの枢機卿:下巻:73ページ)

「彼のごく親しいロシア人を強制収容所に送った」(下巻:196ページ)

このロシア人は、トレントのホモ友です。ソ連では同性愛行為は犯罪のため、彼は逮捕されました。(クレムリンの枢機卿:下巻:291ページ)

「君がミサイルをくらう少し前のことだ」(下巻:212ページ)

レッド・オクトーバー亡命事件の際、ジャクソンが乗ったF-14がソ連の戦闘機の攻撃を受け、被弾しました。そのとき、ジャックは空母をまわって、海軍幹部らに亡命作戦の説明をしていました。(レッド・オクトーバーを追え:下巻:23ページ)

「あっちの人たち」(下巻:317ページ)

このやりとりは「愛国者のゲーム:上巻:132ページ」を参照。

「われわれの道は三回交差していますよ」(下巻:348ページ)

クラークが言っている最初の2回の場面は、「愛国者のゲーム」に記述されていますが、本作品には彼は登場しません。「ゲラシモフ議長の夫人らを連れ出した」については「クレムリンの枢機卿:下巻:384ページ」を参照。

「ソビエト共産党の書記長と秘密裏に会った」(下巻:362ページ)

KGB議長ゲラシモフの亡命事件の際、ジャックはモスクワの空港でゲラシモフをアメリカの飛行機に乗せることには成功したものの、自分はその飛行機には乗れませんでした。彼はKGBに逮捕され、ソ連書記長の前に連行されました。(クレムリンの枢機卿:下巻:422ページ)



本作品は1994年に「今そこにある危機」というタイトルで映画化されました。

ジャック・ライアン役はハリソン・フォード、クラーク役はウィレム・デフォーでした。

クライマックスでは、小説と違ってライアンがエスコベドと直接面談し、コルテスを追い詰めます。

セルロース製のミサイルが、車に突撃するシーンは手に汗を握ります。







ジャック・ライアン
(ハリソン・フォード)

ジョン・クラーク
(ウィレム・デフォー)

フェリクス・コルテス
(ホアキン・アルメイダ)

ボブ・リッター
(ヘンリー・チェルニー)



OP-03, 05(上巻:497ページ、下巻:33ページ)







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