ジャック・ライアン・シリーズでは、舞台の年代は明記されていません。しかし、断片的な情報や4年に一度大統領選挙が行われることから考えると、以下のようなものになります。
小説内でも年代的矛盾がありますので、どこまで正確かはわかりません。フィクションなので仕方ないでしょう・・・。
年 | 月 | 内 容 | 該当作品名 |
1922 | ジャック・ライアンの父生まれる。 | ||
1940 | 7 | フィリトフがエレーナと結婚。 | |
1956 | フィリトフの長男死去。 | ||
1959 | フィリトフの次男死去。 | ||
1960 | 2or7 | エレーナ・フィリトフ死去。 | |
1962 | 8 |
オレグ・ペンコフスキーがKGBに逮捕される(史実)。 フィリトフがCIAのスパイとなる。 |
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1985 | 8 | ライアン、CIAのコンサルタントとしてレポートをまとめる。 | |
11頃 | ライアン、テロリストのイギリス皇太子夫妻襲撃を阻止(ライアン31歳)。 | 愛国者のゲーム | |
1986 | 1or2 | キャシーとサリーがテロリストに襲われる。 | |
7/30 | イギリス皇太子、ライアン家を訪問中にテロリストに襲われる。 | ||
8 | ライアン、CIAの常勤となる。 | ||
1987 | * | ライアン、ロンドンに転勤。 | |
1988 | 12 | レッド・オクトーバー亡命事件発生。 | レッド・オクトーバーを追え |
1989 | 12 | アメリカ海軍がレッド・オクトーバーの調査を終了。 | クレムリンの枢機卿 |
1990 | 1 | 軍縮交渉でライアンとゴロフコが出会う。(ライアン35歳) | |
* | KGB議長ゲラシモフがアメリカに亡命。 | ||
1992 | 6 | ショーボート作戦などの一連の対麻薬カルテル作戦が決行される。 | いま、そこにある危機 |
11 | 大統領選挙でファウラーが勝利する。 | 恐怖の総和 | |
1993年 | 1 | ファウラー政権発足。ライアン、CIA情報担当副長官となる。 | |
1994 | 8 | ヴァチカン条約締結。 | |
1995 | 1 |
スーパー・ボウルで核爆弾爆発。 ライアン、CIAを辞任。ダーリング、大統領就任。 |
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年代の調整 |
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1999 | 10 | ライアン、ダーリング大統領の国家安全保障問題担当補佐官になる。 | 日米開戦 |
2000 | 1/13 | アメリカとロシアが最後の核ミサイルを廃棄する。 日本・自衛隊がアメリカとの合同演習の際に、アメリカ艦隊を攻撃。 |
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* | 日米戦争勃発。アメリカの勝利で終わる。 | ||
2 | JAL旅客機がアメリカ国会議事堂に衝突。ダーリング大統領が死亡し、ライアンが大統領に就任する。 | 合衆国崩壊 | |
3 | イスラム連合共和国が誕生。 | ||
* | ライアンの末娘がテロリストに襲撃される。 アメリカでエボラ・ウィルス・テロ事件発生。 第二次湾岸戦争勃発。アメリカの勝利で終わる。 |
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秋 | NATO対テロ組織、レインボーが結成される。 | レインボー・シックス | |
11 | ライアン、大統領選挙で再選される。 | 大戦勃発 | |
晩秋 | モスクワで、セルゲイ・ゴロフコ暗殺未遂事件が起こる。 | ||
2001 | 冬 | シヴァ・ウィルスが開発される。 シドニー・オリンピックでバイオテロ未遂事件発生。 |
レインボー・シックス |
5? | (1巻:p155-170のシーン) | 大戦勃発 | |
* |
中国の武装警官にバチカン市国大使が殺される。 中露戦争が勃発。ロシアの勝利で終わる。 |
●クレムリンの枢機卿
「レッド・オクトーバー」ではフィリトフの次男が1959年に死去したとの記述があります。「枢機卿」では、フィリトフの妻が「次男の死去の次の7月」に死去し(ただし、フィリトフは2月と回想しており、不一致がある)、それが「枢機卿」の舞台の30年前との記述があります。「次の7月(原文では"following July")」は次男死去の翌年と考え、「枢機卿」の年代を1990年と推定しました。この年代より、計算を始めました。
●レッド・オクトーバーを追え
「枢機卿」のプロローグでのライアンとラミウスの会話より、亡命事件から1年が経過しているため、1989年と推定しました。
●愛国者のゲーム
皇太子襲撃をライアンが阻止した時、ライアンは31歳であり、また、「枢機卿」には当時ライアンが35歳との記述があることより、1985年と推定しました。
●いま、そこにある危機「ライアンがグリーアに出会ってから7年、CIAに入ってから6年」との記述があり、また、現実の世界で大統領選挙が1992年に行われることを考え、1992年が舞台と推定しました。また、下巻63ページには「6月」との記載があります。
●恐怖の総和
ファウラーが大統領選挙で勝ってから2年たったとの記載があるため、1994年が舞台と推定しました。
なお、キャシーが「ジャック坊やが7歳、サリーが10歳」と言っている場面があります。「愛国者のゲーム」の際、サリーは3歳で、ジャック・ジュニアは生まれたばかりですので、これから計算すると1993年が該当しますが、今回はこれは無視しました。
●日米開戦
ライアンがCIA辞任後2年半後に国家安全保障担当補佐官になったとの記述、さらには当時、シャベスが31歳との記述があることより、1997年にジャックが補佐官になり、日米戦争は1988年の起こったと計算するのが妥当です。
★年代の調整
しかし、日米開戦・下巻では、日米戦争の年に大統領選挙がある、との記載があります。現実の世界では大統領選挙は1996年、2000年に行われたため、ここ上記の推定と不一致が生じます。年表では「2000年に大統領選挙が行われた」とした上で、「日米開戦」以降の年代を調整し、「日米戦争が2000年に起こった」と設定しました。
●合衆国崩壊
前作からの続きですので、2000年が舞台としました。
●レインボー・シックス
シバ・ウィルスを作っている場面で「前年の大きな脅威」との記載があるため、2001年が舞台と推定されます。
しかし、以下のように「大戦勃発」が2000〜2001年が舞台と推定され、この時点ではIRA過激派によるヘリフォード病院の襲撃が終わっていることより、レインボー結成は2000年秋とするのが妥当です。
なお、シドニーオリンピックは、現実の世界では2000年9月に開催されましたが、これでは「冷房が必要なほどの暑さ」という舞台設定にあいません。小説上は、2001年の冬と考える方が妥当です。
●大戦勃発
この作品は、日付に矛盾があります。1巻:167ページで「JAL旅客機突入事件から15ヶ月」という記述があり、これから計算すると、このシーンは5月になります。しかし、ゴロフコの暗殺未遂事件は「晩秋」となっており、これが、3巻57ページでは「三週間ほど前」と記載があります。どう考えてもつじつまが合いません。
ソ連国防相について
「レッド・オクトーバー」に出てくるウスチノフ国防相、「枢機卿」に出てくるヤゾフ国防相、名前だけ出てくるソコロフ国防相はいずれも実在の人物です。
彼らの任期は、それぞれ
ウスチノフ:1976年4月〜1984年12月
ソコロフ:1984年12月〜1987年5月
ヤゾフ:1987年5月〜1991年8月
です。
フィリトフは、「レッド・オクトーバー」の時はウスチノフの補佐官であり、その2年後が舞台の「枢機卿」の時はヤゾフの補佐官となっています。従って、実際の国防相の任期と一致しません。
まあ、小説の中の話ですので、同一名のフィクション人物と考えれば、不一致でもいいのかも。
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