Arcadia


(2CD+DVD)

So Red the Rose

「セヴン&ザ・ラグド・タイガー」に伴うツアー終了後、「DD活動を休止して、新しいサウンドを追求しよか」という話になって、サイモンとニックがDDの耽美面を深掘りするバンドを結成。ドラムはロジャーに頼みました。

「ザ・80年代」というのがぴったりなサウンドで、単調なドラムの音が目立ちます。リズムだけ聴くとノリがいいような感じがしますが、ニックが弾く独特なフレーズとねっとりとしたサイモンの声がからむとノリが薄まり、中途半端な印象の曲が多いです。繰り返して聴くのはしんどい。

ゲスト・ミュージシャンとして、土屋昌巳、デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)、アンディ・マッケイ(ロキシー・ミュージック)、ハービー・ハンコックなど大物が参加していますが、隠し味的な演奏に留まり存在感は薄いです。



The Power Station


(CD+DVD)

The Power Station

ジョンの彼女がTレックスのGet It Onのカバー曲を録音することになったのがきっかけ。DDとは異なるハードな曲をやりたいと思っていたジョンとアンディがシックのトニー・トンプソン(Dr)に声掛けしてセッションしたら、予想以上にパワフルなサウンドになったのでバンドを結成。曲ごとにボーカリストを変えていくつもりだったが、アンディが好きだったロバート・パーマーにGet It Onを歌ってもらったらバシッとサウンドにはまったので、全曲彼に歌ってもらうことになりました。

パワフルなドラム、ブラスセクションがアクセントを加える曲で華々しくオープニング。曲の終盤ではDDではほとんど聴けないアンディのハードなギターソロも入ります。

2曲目もいい感じですが、その後、ドラムがやたら目立つ同じような曲が続いてしだいに飽きてきます。だるくなったところで、アンディのカッティングが冴えるGet It Onが始まって目がパチッと覚めます。

曲によって出来不出来があるのは残念。

ビデオクリップ、インタビュー、レコーディングの様子を収録したDVDとのセットあり。

ツアーしようと思ったら、アルバムが売れまくったことに色気を出したロバートがソロアルバムを出すことを決めてツアーに不参加。ゲストボーカリストを起用してツアーを行った後、消滅。

Living In Fear

突如オリジナルメンバーで再結成。曲作りを開始したもののジョンが個人的な問題(離婚、薬物中毒からのリハビリ)のためにレコーディングには参加せず、バーナードがベースを弾きました。

音のバランスがよいので聴きやすいです。ファンクさよりもハードさが目立っています。

中盤にあるホーンセクションと女性コーラスを起用したド派手なファンク曲から雰囲気が一変。続くハード曲の怒涛3連発から、渋いブルースを挟んでビートルズのTaxmanのカバーに突入する流れはナイス。

ツアーをしようと思ったら、バーナードが肺炎のために急死。セッションミュージシャンを起用してツアーを行った後、解散。



Andy Taylor

Thunder

デュラン・デュランの「ノトーリアス」のレコーディング直前からセックス・ピストルズのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズと曲作りとレコーディングを開始。

結局、DDを脱退し、ソロアルバムを発表しました。

DDとは異なるサウンドを追求するのは当然のことで、ストレートなロック曲が収録されています。

Dangerous

とあるバンドからカバーアルバムのプロデュースを頼まれたものの、そのバンドが制作を取りやめることになり、「じゃあ、俺が代わりに作るよ」とレコード会社に申し出て制作。

シン・リジィ、ロッド・スチュワート、バッドカンパニー、ローリング・ストーンズなどの曲を収録しています。ガンガンにハードなサウンド&熱唱を聴けます。

1996年にパワー・ステーションを再起動。2001年にDDに復帰するものの、2006年に再度脱退。

Man's a Wolf To Man (2023年)

2016年にレコード会社から新作を打診されたことで制作開始、2019年に新曲を発表。2020年にはアルバムを出す予定だったが、コロナのせいで遅延してじっくりと練り直しました。

この間、世界を混乱に落とし込んだトランプ政権、イギリスのEU脱退、コロナ禍を経験したことで、人間がいかに自分自身の最大の敵であり、敵対する他の人間に対して狼の群れのように振る舞うかを描いたそうです。

2022年にDDが「ロックの殿堂」入りした際の式典に参加予定だったものの急遽欠席。この際、彼が末期の前立腺癌と闘病中ということが発表されました。これをきっかけに種々の治療の情報が寄せられ、2023年に受けた最新治療で症状が落ち着きリリースに至りました。

どっしりとしたヘヴィーな曲で幕開け。全体的に重めのロック曲が多いですが、女性ボーカリストととのデュエット曲、DDみたいな軽快な曲もあり、アクセントがついていて聴きやすいです。







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